田沢連投、熱投!文句なしのMVP

[ 2008年3月26日 06:00 ]

<新日本石油ENEOS・JR東日本>優勝の瞬間、田沢はこん身のガッツポーズ

 【新日本石油ENEOS5―3JR東日本】名門が鮮やかに復活を遂げた。第63回JABA東京スポニチ大会は25日、神宮球場で準決勝に引き続き行われた決勝では、新日本石油ENEOSが粘るJR東日本を5―3で振り切って13年ぶり9度目の王座に輝いた。最高殊勲選手賞には今大会3勝を挙げるなどフル回転した新日本石油ENEOSのエース、田沢純一投手(21)が選ばれた。新日本石油ENEOSは11月に行われる日本選手権の出場権も獲得した。

 最後の打者はフォークで三振に仕留めた。両手を突き上げた田沢が天に向かって雄叫びを上げた。名門復活。エースは歓喜の輪の中心で最高の笑みを浮かべた。
 「きょうは準備はできていました。僕は今、乗っていますから。だから抑えられると思いました」
 決勝戦の出番は8回だった。抑えとして準決勝から“連投”。最速156キロを誇る右腕もさすがに疲れは隠せず、最速は142キロ。それでも闘志はなえていなかった。8回に失策絡みで1失点。9回は連打で無死一、二塁とさせたが、得点は許さなかった。今大会5試合中4試合に登板して3勝を挙げ、防御率は0・00。文句なしのMVPに輝いた。
 23日の準々決勝、JFE東日本戦では34年ぶりに大会記録更新となる18奪三振で完封。この日の第2試合、準決勝の日本通運戦でも8回から登板して2回を1安打3奪三振。まさにフル回転でチームに13年ぶり9度目の栄冠をもたらした。
 田沢は今大会に懸けていた。ドラフト解禁の昨年はチームの方針で抑えで活躍。横浜などが獲得意思を表明したが母・礼子さんの「会社に貢献してからプロに行きなさい」の一言でチームへの残留を決めた。11月のW杯(台湾)で156キロを記録したが大久保監督の評価は「(打者)1巡なら大丈夫。でも2巡目からは不安が残る」だった。
 「今大会で長いイニングを投げられることを実証したい」。そのためシーズン前は徹底してバランス強化を図った。柔らかいマットの上でバランス取り。昨年まで疲労がたまると倒れていたが、今オフは全く倒れないまでに強化した。下半身が安定して臨んだ今大会は先発2試合で16回1/3を自責0。意気込み通り、変化を証明した。
 社会人野球を引っ張ってきた名門も3大大会(スポニチ大会、都市対抗、日本選手権)最後の優勝は13年前の都市対抗。就任4年目の大久保監督の下“ドクターK”の活躍で見事にチームは復活した。もう大丈夫。進化を止めない男が名門をさらに躍進させる。

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2008年3月26日のニュース