エコ投球だ 八頭・平木79球完封

[ 2008年3月26日 06:00 ]

完封勝利の八頭・平木はガッツポーズ

 第80回選抜高校野球大会第4日は25日、甲子園球場で2回戦3試合を行い、第2試合で八頭(鳥取)のエース右腕・平木良典投手(3年)は22年ぶり出場の宇都宮南(栃木)をわずか79球で3安打無四球完封に仕留めた。大会記録には及ばなかったものの、試合時間1時間27分の快投で3回戦進出を決めた。第3試合では31年ぶり出場の丸子修学館(長野)が強豪・智弁和歌山(和歌山)を追いつめながら、逆転負けを喫した。26日は2回戦2試合が行われる。

 【八頭1―0宇都宮南】あっという間の9回だった。開始からわずか1時間27分。平木が9回2死二塁を、79球目となるスライダーで一ゴロに仕留め試合終了。散発3安打、しかも1960年の秋田商・今川の大会最少投球74球に、あと5と迫る“省エネ”での無四球完封に笑顔がはじけた。
 「自分のピッチングができた。すぐに9回が来たって感じ。9回は追いつかれても、自分のせいじゃないと開き直った。負けたら鳥取に帰れないところだった」
 観衆を沸かせる速球はない。だが、打者の胸元を突く抜群の制球力と鋭いスライダーで宇都宮南打線をほんろうした。
 ポケットには2つの“お守り”を忍ばせていた。中尾コーチから試合前、全員にビニールケースに入った紙が配られた。表には「目に元気を出せ」のメッセージ、裏には「心」の一文字が記されていた。祖父・辰雄さん(82)からも「ピンチになったら力いっぱい吸い込んで軽く吐く」と書かれた手紙をもらった。仲間を信じてどんどんストライクを投げ込み、9回のピンチは大きく深呼吸して切り抜けた。
 バックも無失策でエースをもり立てた。3回には右中間を抜けそうな飛球を中堅・壹村が好捕。攻撃では5回に中谷が虎の子の1点を叩き出した。勢いに乗るチームは次戦で東洋大姫路と対戦。「相手は格上。接戦に持ち込んで勝ちたい」と平木。昨秋から公式戦のマウンドを1人で守る大黒柱が頼れる仲間とともに優勝候補の一角に挑む。

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2008年3月26日のニュース