ホンダ F1復帰!マクラーレンにエンジン供給へ

[ 2013年5月16日 06:00 ]

80年代後半、黄金時代を築いたマクラーレン・ホンダ

 ホンダが自動車レースの最高峰、F1シリーズへの復帰を正式に決めたことが15日、分かった。15年から小排気量の新型エンジンを提供する形で参戦し、供給先は80年代後半に黄金時代を築いた元パートナーの英マクラーレンになる見通し。ホンダの伊東孝紳社長が週内にも記者会見して表明する。現在F1に日本人ドライバーは不在だが、インディカーシリーズで活躍する佐藤琢磨(36)の復帰の可能性も出てきそうだ。

 日本人ドライバー、日本メーカー不在で、国内での注目度の下がっていたF1に、明るい話題が届いた。リーマン・ショックで経営環境が悪化した08年を最後に撤退していたホンダが、7年ぶり4度目の参戦を決めた。

 2つの追い風があった。一つは業績回復。13年度は商品力の強化などにより北米を中心に四輪車販売が前年比29・2%増で初の400万台を突破。さらに円安もあって、13年決算では営業利益が前年の約2・4倍の5448億円だった。

 もう一つはルール変更。近年のF1マシンは技術が先鋭化して独自性が強まり、市販車に生かしにくくなっていたが、14年からは、より市販車に近い排気量1600CCのターボエンジン搭載となる。また、ブレーキを踏んだ時に発する運動エネルギーに加えて、新たにエンジンの熱エネルギーを回収して利用するシステムも導入される。市販車開発にも生かせる新たな技術への挑戦は大きな魅力だった。

 パートナーとなるマクラーレンとは相思相愛の関係だ。現在のF1は80年代のようにエンジンのパワーだけで勝てる時代ではない。車体製造での高い技術を持つマクラーレンは、ホンダにとって最高の相手。マクラーレンとしては、現在エンジン供給を受けているメルセデスが10年に自前のチームも持って以来、両社の関係は冷え込んでおり、新たなパートナーを求めている事情もあった。

 メキシコの有力スポンサーが付くマクラーレンには今年からメキシコ人ドライバーのセルヒオ・ペレス(23)が加入し、日本人ドライバーが加わる余地は少ない。だが、ホンダはマクラーレンのほかに、ロータスなどにもエンジンを供給することが濃厚で、過去に実績がありホンダとの縁が深い佐藤琢磨が抜てきされる可能性は高いとみられている。前回の第3期は不本意な結果に終わったホンダだが、持ち前のチャレンジングスピリットは失われてはいなかった。

 ▼マクラーレン・ホンダ(88~92年) 88年はプロスト擁するチームにセナが加入し、ホンダ・ターボエンジンの性能もあって16戦15勝という伝説的な強さを見せた。同年から91年までドライバー部門、製造者部門を独占。90戦で44勝を挙げ、赤白カラーのMP4シリーズのマシンはF1に一時代を築いた。

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2013年5月16日のニュース