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“ネクストモンスター”中谷潤人 無敗日本人3人目となる3階級制覇!圧巻6回TKO

[ 2024年2月25日 04:30 ]

WBC世界バンタム級タイトルマッチ   ○同級1位 中谷潤人《6回TKO》王者 アレハンドロ・サンティアゴ● ( 2024年2月24日    東京・両国国技館 )

王座奪取に成功した中谷(撮影・島崎忠彦)
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 WBC世界バンタム級1位の中谷潤人(26=M・T)が転級初戦で日本男子7人目の世界3階級制覇を達成した。同級王者アレハンドロ・サンティアゴ(28=メキシコ)を6回1分12秒TKOで下し、井上尚弥(30=大橋)らに続く3人目の無敗での達成となった。WBA世界バンタム級王者の井上拓真(28=大橋)は世界戦4戦目で初のKOで初防衛に成功。WBO世界スーパーフライ級1位・田中恒成(28=畑中)は世界最速となる21戦目で、日本男子3人目の世界4階級制覇となった。

 鮮烈なKO劇だ。バンタム転級初戦で2度のダウンを奪った中谷は珍しく感情を爆発させた。「ターニングポイントになる試合。喜びは今まで以上に大きかった」。憧れの緑色のベルトを肩にかけると、とびきりの笑顔を見せた。

 初めて挑戦者として王者に挑んだ。13センチ低い相手より低く構えると、長いリーチを生かした右ジャブで主導権を握った。テンポを上げた6回、左ストレートでダウンを演出すると、立ち上がった相手をコーナーに追い詰め、右フックからの連打で2度目のダウンを奪った。レフェリーが試合を終わらせ、井上尚、田中に続いて無敗で3階級制覇を達成した。

 衝撃のKO劇の再現だ。昨年5月に米ラスベガスでA・モロニー(オーストラリア)を12回KOで下し世界2階級制覇を達成。この一戦は米国で最も権威のある専門誌リングマガジンなどの「23年年間最優秀KO賞」に選出された。「楽しいと思ってもらえる試合をするのがプロ。階級を上げてこういう結果を残せたことは収穫」。“ドネアに勝った男”を最後まで寄せ付けず、涼しい顔で自身20度目のKO勝利を振り返った。

 会場の両国国技館は思い入れのある地だ。15歳だった13年4月、WBC世界バンタム級タイトルマッチで同級王者・山中慎介が3度目の防衛を達成した一戦を現地で観戦した。競技を始めたころから憧れていたベルトを手にしながら「凄く感慨深いものがある。光栄に思うし気が引き締まる思い」とレジェンドの仲間入りを果たし胸を張った。

 見据えるのは、将来対戦を熱望するスーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚が成し遂げた、バンタム級の4団体統一。「この勝利は自信になった。これからさらに上のところを見ていければ」。スーパーフライ級時代はかなわなかった統一戦を目指し、新階級でも「ネクストモンスター」が最強を証明し続ける。

 ◇中谷 潤人(なかたに・じゅんと)1998年(平10)1月2日生まれ、三重県東員町出身の26歳。小4から空手を始め、中1でボクシングに転向。U―15全国大会を2連覇した。中学卒業後に単身渡米してルディ・エルナンデス氏に師事し、17歳でプロデビュー。16年全日本フライ級新人王、17年8月に日本ユース王座、19年2月に日本王座を獲得。20年11月にWBO世界フライ級王座を獲得。23年5月にWBO世界スーパーフライ級王座決定戦でA・モロニー(オーストラリア)に12回KO勝ちし2階級制覇。身長1メートル72、リーチ1メートル70の左ボクサーファイター。

 《5・4西田勝てば日本人王者3人誕生も》中谷が新王者となり、初防衛に成功した井上拓と2人の日本人王者が誕生したバンタム級。IBF1位の西田が5月4日に王者エマヌエル・ロドリゲスに挑戦することが濃厚で、勝てば3人の日本人王者が君臨することとなる。ほかにも、比嘉や元K―1王者の武居ら国内の強豪もひしめく階級。WBA世界7位にランクインした“キックの神童”那須川も今年中のタイトル挑戦への意欲を示すなど、群雄割拠の様相を呈してきた。

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