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上谷沙弥 チャンピオンとしてのプロレス 「もどかしさを感じる」

[ 2022年8月18日 09:00 ]

白いベルトの防衛を続ける上谷沙弥(C)STARDOM
Photo By 提供写真

 【牧 元一の孤人焦点】プロレスラーの上谷沙弥(25)が今月21日、愛知・ドルフィンズアリーナで、KAIRI(33)を相手にワンダー・オブ・スターダム王座(白いベルト)の9回目の防衛戦を行う。昨年12月にベルトを奪取してから約8カ月。チャンピオンとして戦い続ける思いを聞いた。

──この約8カ月で戦い方に変化はありましたか?
 「自分にしかできない空中殺法を見せたい。お客さんを驚かせるプロレスを見せたい。そういう思いは変わっていません。ただ、もどかしさは感じています」

──もどかしさ…?
 「最初の頃、勝ちたい気持ちが強すぎて、相手の良さを引き出すことができませんでした。最近はチャンピオンとして相手の良さを引き出した上で勝ちたいという気持ちが強いんですけど、まだ、そういう試合運びがうまくできていません」

──なぜでしょう?
 「キャリアの浅さかもしれません。目の前のことに夢中過ぎて自分自身に余裕がない。必死な部分が出てしまって試合運びに雑な部分が出てしまう。技術的には、今まで大技でカバーしてきたんですけど、細かい技術の面でまだ追いついていない部分があることを実感します。最近は自分の技のことより相手の技の受け方や『間(ま)』を考えることが多いです」

──試合の経験を積み重ねる必要があるかもしれませんね?
 「やはり経験の少なさが出てしまうのかもしれません。引き出しをもっと増やしたいと思います」

──以前、ツイッターに「ベルトが重い。苦しさも感じる」と書いていましたね?
 「防衛を重ねれば重ねるほど、本気で挑戦してくれた人たちの思いが全てベルトに宿ってゆきます。それだけベルトの価値は上がるんですけど、その分、私は素晴らしい試合を重ねていかなくちゃいけない。でも、自分には足りない部分があって、もどかしさを感じます」

──王者として追われる立場はやはり苦しいですか?
 「精神的にいっぱいいっぱいになることが多いです。ベルトを勝ち取るのもめちゃくちゃ大変でしたけど、いろんな選手の『絶対にベルトを取ってやる』という思いを受け止めてはねのけるのもめちゃくちゃ大変です」

──ツイッターには「心を揺さぶるプロレスがしたい」とも書いてありましたが、心を揺さぶるプロレスとは?
 「自分の生きざまをプロレスに乗せることです。自分が今まで経験してきたことをプロレスに乗せないと、お客さんは応援したい気持ちにならないと思います。空中殺法や派手な技よりエルボー一発の方が感情が伝わりやすい場合もあります。自分の技に全ての感情を乗せて試合をしたいです」

──改めてうかがいますが、プロレスとは何だと思いますか?
 「プロレスとは人生そのものです。生きていれば上がる時もあれば下がる時もあります。プロレスも、勝つ時もあれば負ける時もある。負けて落ち込んでもまた頑張ろうと自分を奮い立たせる。やられてもやられても立ち上がる姿がプロレスのいちばんの魅力だと思います」

──「大きな野望を抱いている」ということですが、その野望とは?
 「赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム王座)の朱里選手のことを意識しています。赤と白は比べられることが多いけれど、全てに関して上回りたい。赤は団体の最高峰のベルトと言われているけれど、それを逆転させたい。お客さんに『白いベルトが1番』と思ってもらいたいです」

──白いベルトの王者として赤いベルトの王者を超えるということ?
 「そうです」

──開催中のリーグ戦「5★STAR GP 2022」については?
 「ここで優勝できたら、その先、どんな形になるかは分かないですけど、朱里選手と試合がしたいです」

──5★STARで「ベストバウト賞」を獲得できれば、いま感じている「もどかしさ」も解消するのでは?
 「取りたいです。ベストバウト賞は試合内容を評価されるものなので、いろんな賞の中で最高の賞だと思います。シングルのチャンピオンとして、これからベストバウトを連発していきたいです」

 まずは21日。米・WWEで戦った経験を持つ先輩・KAIRIとの一戦は今後に向けての試金石となる。9回連続王座防衛もさることながら、何より、エルボー一発の凄み、観客の心を激しく揺さぶるプロレスを望む。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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