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天才・阿部麗也が悲願のベルト獲得で2冠王者に 右まぶたカットのピンチも7回に会心の左

[ 2022年5月15日 20:53 ]

新王者となり、花道でファンに応える阿部(カメラ・中出健太郎)
Photo By スポニチ

 ボクシングのWBOアジア・パシフィック・フェザー級王座決定戦を兼ねた日本フェザータイトルマッチ12回戦は15日、東京・墨田区総合体育館で行われ、日本同級1位の阿部麗也(29=KG大和)が日本王者・丸田陽七太(25=森岡)に3―0で判定勝ちし、2つのベルトを獲得した。3度目の日本王座挑戦を実らせたIBF同級10位の阿部は23勝(10KO)3敗1分け。日本王座2度目の防衛に失敗したWBC8位・IBF6位・WBO10位の丸田は12勝(9KO)2敗1分け。

 ジャッジ3人の採点は115―112、116―111、118―109。快勝で悲願のプロ初タイトル獲得にも、阿部は「3度目の正直でベルトを巻いてホッとしています」と静かに喜びをかみしめた。丸田の右ストレートを警戒しつつ、抜群のスピードとステップから一気に踏み込み、変幻自在にパンチを当てる“阿部ワールド”で1回から主導権を握ったが、4回に右をもらって右まぶたをカット。出血がひどく、試合を止められればTKO負けとなる危機に「正直焦ったし、心が折れそうになった」という。

 だが、戻ったコーナーでKG大和ジムの片渕剛太会長から「絶対に血を止めるから、気にしないで戦ってこい」と言われて奮起。「倒す必要がある」と覚悟を決めて距離を縮め、7回に「丸田選手がスエーで避けるので当たる感じがあった」という左ストレートで会心のダウンを奪った。セコンド陣の処置で出血も止まり、華麗なアウトボクシングで最後まで流れを明け渡さず「何とか最後まで戦えた」と嗚咽を漏らした。

 KG大和ジムにとっても創設15年目で初のタイトル。片渕会長とともに「長かった」とホッとした表情を浮かべた。応援に駆けつけた約250人に試合中から大歓声を送られ、リング上のインタビューでは「(観客席から)声を出していいのかなと思ったけど、それくらい見応えある試合ができたのならよかった」と話して笑わせた。リングを下りる際には長男・洸空(こうあ)くん(4)と璃空叶(りあと)くん(2)を抱き上げ、パパの顔になった阿部。「ここを目標にしていたわけじゃない。最低ラインとしてやってきた。まだ先を見ている。満足していない」と気勢を上げ、自称・天才をこれからも名乗るのか、と問われると「天才でしょ!」と最後は阿部らしく締めた。

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2022年5月15日のニュース