田中恒成、再起戦で石田匠に2―1判定勝ち「笑顔で試合できたのは初めて」
プロボクシング前WBO世界フライ級王者の田中恒成(26=畑中)が11日、名古屋国際会議場で52・5キロ契約10回戦に臨み、判定2―1(96―94、96―95、94―96)で元日本スーパーフライ級王者の石田匠(30=井岡)を下し、再起した。
勝利後のリングで笑顔を振りまきながらインタビューに答えた。 「こんなに楽しく試合できたのは石田選手のおかげ。(判定)2―1で内容も競っていた。満足いくものではないけど、笑顔でリングインして、笑顔で試合できたのは(プロ)17戦目で初めて。(プロ初黒星から)1年やってきて何も悔いはない。まだ先が見えたとは言えないけど、リングに帰ってきて楽しかった」
昨年大みそかにWBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(32=志成)に敗れ、4階級制覇に失敗しプロ初黒星を喫して以来の試合。立ち上がりから石田の速い左ジャブに手を焼いた。それでも3回から、どんどん距離を詰めて連打をたたき込む。右カウンターのクリーンヒットもあり、5回あたりで石田が鼻から出血。以降もロープやコーナーに追い詰め、左ボディー2連打を繰り返すなど攻め続けたが、ダウンを奪えないまま試合は終わった。
昨年末で父・斉(ひとし)さんがチーフセコンドを卒業し、村田大輔トレーナー(43)と新コンビを結成。練習では基礎からやり直したという。「構え方、ガードの上げ方から。初心者がやるようなことをやって新鮮でした。楽しくボクシングできるようになった」。この日の試合は以前とは違う心構えで臨んだ。「(これまでの試合は)いつも緊張感が凄いし、周りにも緊張感を与えていたと思う。自分が考えたことが全てで時間通り、計画通りに進めていた。今回は“俺がダメなら(村田)大輔さんが何とかしてくれる”とトレーナーに任せた。ピリピリしなかった。今回はいつもの日常、普通の一日として過ごすつもりだった」。入場時点から周囲に笑顔を振りまき、以前とは異なる印象を与えた。
「今回はスパーリングに近い感じで、いつものような試合の緊張感は良くも悪くもなかった。それは反省点でもある。もう少し気持ちを入れて、ちょうどいいところを見つけていかないと」。本人が勝利後のリングで語ったように「満足いく」内容ではなかった。まだ発展途上で強くなるために“最適”が何かを模索している段階なのかもしれない。
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