ボクシング界の対立激化 JBC側に問題も、JPBAの“やり方”は本当に正しいのか?

[ 2021年11月23日 08:30 ]

後楽園ホール
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 振り上げた拳をどう収めるのだろうか?日本プロボクシング協会(JPBA)が日本ボクシングコミッション(JBC)に対し、来年1月から試合承認料や各種ライセンス料をJPBAと各地区協会で一時的に預かることを通告する文書を16日付で送付した。JBCの運営は承認料やライセンス料で成り立っているため、事実上支払いがストップする形となれば、今後の活動が立ち行かなくなる可能性もある。新型コロナウイルス対策で連絡協議会を設置するなど協力関係を強めていた両者だが、ここに来て一気に敵対ムードに変わってしまった。

 事の発端は昨年末のWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチでJBCの重大な瑕疵(かし)と不手際やで王者・井岡一翔(志成)がドーピング騒動に巻き込まれたこと。JBCのガバナンスを問題視し、実務の責任者である浦谷信影執行理事の退任を求める要望書を提出したが、JBC側の返答が「まったくの無回答というべき内容」だったため、より強硬な姿勢で臨むことになったという。

 JBCサイドに非があることは間違いない。しかし、金銭の支払いをストップして他の組織の人事に圧力をかけるという方法は本当に正しいと言えるのだろうか? JPBA理事の一人は「われわれだって、こんな手段には出たくなかった」と明かす。亀田裁判や健保金問題などJBCに対する不信感や不満がくすぶり続ける中、組織改革が一向に進まないどころか、新たな問題が続出。対応のスピードの遅さも指摘され、自浄作用も全く期待できない状況では、たとえ禁じ手であっても“最後通告”を突きつけるしかなかったのだろう。それでもジム会長らで組織するJPBAの圧力によって競技の統括団体であるJBCの人事が動くというあしき前例は作るべきではない。JBCの独立性が担保されていなければ、スポーツとして公平中立な管理、統括ができなくなってしまうからだ。

 JPBAとJBCは、どちらかが上部団体でもなければ、下部組織でもなく、プロボクシング界の両輪。そのバランスが崩れてしまうと、正しく前へ進むことはできない。JPBAは要望が受け入れられない場合には、独自に試合役員を集めて興行を行う方針を理事会で確認しているようだが、それで興行としては成立しても、果たして公式試合と呼べるのだろうか。また、仮に統括団体が分裂するようなことになれば、韓国ボクシング界のような衰退の道をたどる危険もある。

 新型コロナの猛威もようやく収束へ向かい、来月14日にはWBA&IBF世界バンタム級統一王者・井上尚弥(大橋)が2年ぶりに国内で防衛戦を行い、同29日にはWBA世界ミドル級スーパー王者・村田諒太(帝拳)とIBF世界同級王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)の王座統一戦という歴史的ビッグマッチが実現する。盛り上がりに水を差すような騒動の一刻も早い解決を願っている。(記者コラム・大内 辰祐)

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