元K―1王者・武居 ボクシング転向、103秒TKO衝撃デビュー!
6回戦 武居由樹(大橋) TKO1回1分43秒 高井一憲(中日) ( 2021年3月11日 後楽園ホール )
元K―1ワールドGPスーパーバンタム級王者の武居由樹(24=大橋)が鮮烈なボクシングデビューを果たした。11日に東京・後楽園ホールで行われた54・5キロ契約6回戦で、プロ16戦6勝7敗3分けのキャリアを持つ高井一憲(34=中日)に圧巻の1回1分43秒TKO勝ち。プロボクサーとしての第一歩を力強く踏み出した。
レベルが、次元が違っていた。K―1で頂点に立ったサウスポーは新たな舞台でも強さを存分に発揮した。序盤こそ慎重に入ったが、1分すぎから一気に力を爆発。プレスをかけて高井をコーナーに追い詰めると、右フックでぐらつかせ、追撃の連打で最初のダウンを奪う。さらに立ち上がった高井を攻め、最後は左フックで豪快に沈めた。
「デビュー戦をKOで勝てて良かった。緊張はしなかったけど、注目されているのは分かっていたし、期待もされていたのでプレッシャーは感じていた」
昨年12月のK―1両国大会でリングに上がり、ボクシング転向を表明。大橋ジムで元3階級制覇王者の八重樫東トレーナー(38)の指導を受け、1月にプロテストに合格し、この日のデビュー戦を迎えた。
K―1時代は3分×3ラウンドだったため、「長いラウンドも経験してみたい」と話していた武居だが、結果は103秒KO劇。八重樫トレーナーは「早く終わってしまったので…」と苦笑いしつつ、「ここに来るまでの段階で、いろいろなことを試して、あの試合なので素晴らしい出来」と合格点をつけた。
岩手県出身の八重樫トレーナーが初めて世界王座を獲得したのが東日本大震災の発生した2011年の10月。震災から10年後の3・11にデビューした愛弟子は、K―1王者からボクシング世界王者となる初の偉業に挑む。武居は「まだまだですけど、日本を背負えるような選手になりたい」と宣言。大橋秀行会長(56)が「2年で世界を獲れる」と絶賛する逸材は、次戦を7月に予定している。
◆武居 由樹(たけい・よしき)1996年(平8)7月12日生まれ、東京都足立区出身の24歳。10歳からキックボクシングを始め、14年11月にプロデビュー。16年6月にKrush53キロ級王座、17年4月にはK―1ワールドGPスーパーバンタム級王座を獲得。身長1メートル70、左ボクサーファイター。
▽キックボクシングからボクシングへ転向 元K―1世界ヘビー級王者の藤本京太郎(34)が有名。ボクシングで日本、東洋太平洋、WBOアジアパシフィックの3冠を獲得し20年11月にK―1に復帰。RISEバンタム級王者の久保賢司(31)は12年にボクシングに転向したが7戦4勝2敗1分けで引退。17年1月にK―1に復帰した。また、キックの“神童”と呼ばれるRISE世界フェザー級王者・那須川天心(22)は近い将来ボクシング転向する意向を表明している。
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