東北大相撲部出身の中田勝浩が逆転KOで技能賞 ボクシング新人王西軍代表決定戦
プロボクシングの新人王西軍代表決定戦が27日、エディオンアリーナ大阪第2競技場であり、全12階級で来年2月の全日本新人王決定戦に出場する選手が決まった。最重量のミドル級は中田勝浩(29=井岡弘樹)が3回1分8秒、TKOで早川教文(26=中日)を下し、技能賞を受賞した。
逆転KO勝ちでも表情を全く緩めない。「勝っても喜べないですね。運が良かったとしか思わない。ここがダメ、あそこがダメと考えてしまう」。メガネをかければ、ノーベル賞受賞者の山中伸弥・京都大iPS細胞研究所長と見間違えそうな理知的な顔立ち。東北大法学部出身のインテリボクサーは11月に西日本新人王決勝で勝った際もニコリともしなかった。
この日はサウスポーとの対戦。中量級はもともと選手層が薄い上、コロナ禍もありスパーリング相手が簡単には見つからなかった。不安を抱えてリングに上がり、序盤から劣勢。ロープやコーナーに追い込まれ、カメのようにガードを固めて防戦一方。時折、左ボディー、右フックを返して抵抗を試みるのがやっとだった。しかし3回に右ボディーを効かせて一気に形勢逆転。動きが止まった相手に1メートル85の長身から打ち下ろす右ストレートを連打し、レフェリーストップを呼び込んだ。「(相手が)距離を詰めてきたので、うまくハマった。パンチをもらうのはダメ。直していきたい」。無邪気に、はしゃぐことなく勝因を冷静に分析した。
桃山学院高(大阪)では柔道部所属。東北大では「かっこいい」という理由で相撲部の門を叩いた。しかし大きな問題があった。「メシがそんなに好きじゃない」。食に興味がないため、ミドル級(リミット72・5キロ)で戦う現在とほぼ同じ体重だったという。2年生までは試合にも出場したが、次第に相撲への興味を失い、同部に籍を置いたままボクシング同好会を立ち上げた。食事には淡泊なだけに水が合ったようだ。大学卒業後は地元大阪へ戻り、18年夏に実家から近い井岡弘樹ジムへ入門。この日の勝利を含め戦績は5戦全勝4KOとした。
目標を問われても「世界チャンピオン」とは絶対に言わない。「ボクシングは楽しい。でも、どこまでやろうとか決めていない。負けたら(引退するかどうかを)考える。いつでも負けるリスクを背負っているので。覚悟はあります」。地に足を着けて、自分のできることをやり抜く構えだ。
なおMVPはスーパーバンタム級で3回TKO勝ちした福永宇宙(黒潮)、敢闘賞はバンタム級で判定勝ちした冨田風弥(伊豆)が受賞した。
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