井上尚弥 今年を振り返る 米ラスベガス防衛戦の収穫は「インパクトを残す倒し方で勝ったこと」
バンタム級のWBAスーパー王座とIBF王座を保持している3階級制覇王者、井上尚弥(27=大橋)が26日、WOWOWエキサイトマッチの「年末総集編」の収録に臨んだ。井上は今年4月にWBO王者のジョンリエル・カシメロ(31=フィリピン)と統一戦を行う予定だったが、コロナ禍の影響で先送りになった。代わりに10月31日(日本時間11月1日)に米国ネバダ州ラスベガスでジェーソン・モロニー(29=オーストラリア)を相手に防衛戦を行い、高い技術力と強打を披露して7回KO勝ちを収めた。そんな井上に先のモロニー戦のことやバンタム級のライバルたちのこと、今後の展望などについて話を聞いた。
―コロナ禍のなか不安を抱えながらの1年だったと思いますが、いかがでしたか。
「こういう状況なので試合をすることができない選手もたくさんいたなか、結果的に今年も試合はできたし、そこに関しては運が良かったと思います。モロニー戦の試合で入場するとき、それを実感しました。試合の実現のために力を貸してくれた人たちに感謝しています」
―本来ならば4月にカシメロと戦うはずでしたが、延びてしまいました。
「そのときは仕方ないなと思いました。あのときは中止ではなく延期ということだったので。気を引き締め直してトレーニングしなくては、と感じました」
―充実期ともいえる27歳。年間3試合を計画していたのにできませんでした。焦り、あるいは悔しさはありますか。
「そこまでの感情はないですね。1試合できただけもラッキーだったと思っています」
―そのモロニー戦は国内外で高い評価を得ていますが、自分なりの評価はいかがですか。
「そうですね、倒したパンチは自分でも良かったと思います。でも、それまでの試合の流れの作り方であるとかの部分でいうと反省点もあります」
―あの試合の最大の収穫はどんなことでしょうか。
「ラスベガスでインパクトを残す倒し方をして勝ったことですね。あのままダラダラ判定で勝つのではなく、倒しきれたことは大きな収穫だと思います」
―課題は?
「1、2ラウンドの硬さですね。最初からリラックスして入れれば良かったのですが…。でも、1年のブランクもありましたからね。去年11月のノニト・ドネア(フィリピン)戦の1、2ラウンドはパーフェクトでした。あれが毎回できればいいのですが」
―もうひとつの課題ともいえる英会話の習得は?
「いや、それは全然です(笑)。課題を残したままです」
―今年も「エキサイトマッチ 2020年末総集編」で上位にランクされましたね。
「自分の試合を評価してくれたことに対して率直に感謝ですね。パッキャオが3年連続でトップだったことがあるらしいので、それに並べる2021年に出来るように頑張ります」
―キャリア8年、3階級制覇、海外での3試合を含めて20戦全勝17KO。これらの数字には満足していますか。
「自分が思っている以上にいいペースでこれているのかなと思います」
―モロニー戦から2カ月近く経ちました。もうトレーニングを再開しているんですよね。
「はい、トレーニングはやっています。まだテーマを決めてとかそういう段階ではなく、来年に向けて動いている感じです」
―2021年の大きな目標は?
「バンタム級4団体の王座統一です」
―スーパーバンタム級に上げて4階級制覇を狙うという計画は、その先ですね。
「そういうことになりますね。階級を上げたときにどんなボクシングをするのか、自分でも興味があるんです」
―いま、一番戦いたい相手は?
「カシメロです。それかウバーリ(WBC休養王者のノルディーヌ・ウバーリ=フランス)。ベルトを持っている選手と戦いたいです」
―カシメロとWBAレギュラー王者のギジェルモ・リゴンドー(キューバ)が戦うかもしれないという報道もあります。
「その勝った方と戦いたいです」
―どちらが勝つと思いますか。
「カシメロは一発があるし、リゴンドーは巧い選手だし…どちらが勝つかまったく分かりません」
―来年は日本でも試合をしたいのでは?
「この状況(コロナ禍)だけになかなか難しいかもしれないけれど、やっぱり日本のファンの前でも試合をしたいですね」
井上尚弥選手をゲストに迎えた「エキサイトマッチ2020 年末総集編」は28日午後9時からWOWOWライブで放送される。
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