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井上尚弥、モロニー戦へ自信「120%に仕上げれば問題ない。倒すなら前半か中盤」

[ 2020年9月10日 16:31 ]

10月31日(日本時間11月1日)にジェーソン・モロニーと対戦する井上尚弥(WOWOW提供)
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 “モンスター”井上尚弥(27=大橋)のラスベガス初陣が生中継されることが決まった。WOWOWは10日、プロボクシングのWBA&IBF世界バンタム級タイトルマッチ12回戦(10月31日、米ラスベガス)を日本時間11月1日午前10時30分からWOWOWプライムで生中継すると発表した。統一王者の井上がWBA3位、IBF4位ジェーソン・モロニー(29=オーストラリア)の挑戦を受ける。9日にオンライン会見でモロニーとの対戦を発表した井上がWOWOWの独占インタビューに応じた。

 ――3団体の王座統一戦ではなくなったが、モチベーションの変化は?
 「別にベルトに強い興味や執着があるわけではないし、変更も理由(コロナ禍)が理由なので仕方ないと思っています。モロニーも実力のある選手だし、まずは試合ができることに喜びを感じています」

 ――4団体の王座統一先送りになるが。
 「こういう状況なので、4団体統一という興味は自分のなかでは少し薄らいだ気がします。いまはいかに自分の満足いく相手と戦うかということに興味を感じます」

 ――昨年11月7日のドネア戦以来、約1年ぶりの試合になる。
 「4月の試合が延期になってからずっと試合モードで来ているので、モチベーションが落ちるということはないです。いつ試合が決まってもいいように体は動かしてきたので。(体調面に関しては)常に7~8割をキープしていけば試合ができる体はできるので問題はありません。あとは精神的な部分をいかにキープできるか。たしかに1年ぶりの試合になりますが、(スーパーフライ級王座を獲得した)オマール・ナルバエス(アルゼンチン)戦のあとの(負傷による)1年のブランクとは気持ちの面で全然違います。ドネア戦でケガをしたので4月の試合だと不安はあったけれど、延期になったことでその不安はなくなりました」

 ――WBSS優勝で世界的な評価が上がったという実感は?
 「優勝したことに対する評価は感じるけれど、ドネア戦が必ずしも求めていたような内容と結果ではなかったので、そういう意味ではファンの期待を裏切ったのかなと自分では思っています。でも、ああいう状況(右目上に裂傷、出血、眼窩=か=底骨折)で12ラウンドを戦いきって勝てたので自信にもなりました」

 ――今回はボクシングの聖地ともいわれるラスベガスでの試合。
 「ラスベガスでやるからには期待されているということなので、KOしなければと感じます」

 ――今回の試合を通して何を見せてくれるのか。
 「(見てくれる方たちに)元気や活力を届けられたらと思っています。前回は判定だったけれど、相手がドネアだったから満足してもらえたところがあると思うんです。でも、今度は判定までいったらまずいと思っているので、しっかりKOしたいなと思っています」

 ――初めてのラスベガスは初めての無観客試合となる。
 「前回のドネア戦が2万人のお客が入って、今度は無観客。すべての条件が初めてですから、気を引き締めていきます」

 ――不安な点は?
 「肉体的なものは気にしていないですが、精神的なことに関してはどうかなと思っています。ラスベガスに着いてから2週間の隔離があるので、そこだけです」

 ――ロドリゲス戦の前にモロニーとはWBSSの発表会で会っている。
 「そのときはモロニーのことは何も知らなかったんです。一緒に写真を撮ってくれというので撮り、それを彼がツイッターに載せていましたね」

 ――どんな印象だった?
 「普通に優しそうな人でした。自分と撮った写真とドネアと撮った写真を載せていて、見たらドネアと身長がほぼ同じように感じました。でも試合(ロドリゲス戦)では前かがみの姿勢だったので、あまり大きくは感じませんでした」

 ――モロニーは強気な発言をしているが。
 「過去に戦った選手はだいたい同じことを言っていますよね(笑)。そのコメントを言うにふさわしいものを彼が持っているかというと、そこまでではないんじゃないかと思っています」

 ――気をつけるべき点は?
 「正直いって気をつけなくてはいけないという思いはありません。カシメロには一発で倒すパンチがあるので怖さはありますが、モロニーにはそれは感じません。その分、やりにくいのではと思っています。パンチもなくはないし、技術も高く、タフで12ラウンド戦うスタミナもある。いちばん面倒くさいタイプですね。勝ちに徹すれば判定勝ちは難しくないけれど、内容を求めて倒すことを考えれば少し時間がかかるかも。ラスベガスでやるから塩試合はダメですからね。KOしなければ意味がないと考えるので、テーマとすれば“倒しきる”ということに尽きます」

 ――もちろん警戒はしている?
 「警戒というか…要は自分の問題なんです。自分が120%に仕上げれば問題ないので、それを目指して調整します」

 ――プラス20%はどういう部分?
 「100%は自分が仕上げる分で、あとの20%は運です。ボクシングには運も必要なので。その運をつかめるように努力するということです」

 ――KO決着を前提とすると前半、中盤、後半、どのあたりをイメージしている?
 「モロニーの戦闘スタイルを考えると、後半まで行ったら逃げ切られる可能性があるので、倒すなら前半か中盤でしょうね」

 ――カギになりそうなパンチは?
 「いま探しているところです。モロニーはディフェンスもいいので、パンチを出すときの癖やパンチの戻し方なども含めて映像を見てチェックしています。そうしたことは普段はリングに上がってから考えるのですが、今回の場合はリングに上がってからでは遅いかなと思って…。だから前もって癖などをチェックしています。今回がこれまでで一番相手のことを研究しています。倒すための突破口を自分からつかみにいかなくちゃいけないので」

 ――調整は順調ですね。
 「はい、順調です。まったく体調を崩すことなくきています」

 ――試合に向けた意気込みを。
 「1年ぶりのリングなので、見てくれた人たちが『(自分も)頑張ろう』と思ってくれるとうれしいです」

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