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入江聖奈、女子ボクシング五輪1号!宿敵の世界女王に判定勝ち「一番うれしい」

[ 2020年3月10日 05:30 ]

女子フェザー級準々決勝で勝利し、ボクシング女子で日本勢初となる五輪出場を決めポーズをとる入江聖奈
Photo By 共同

 女子フェザー級の入江聖奈(19=日体大)と同フライ級の並木月海(21=自衛隊)がともに準々決勝に勝ち、東京五輪出場枠を獲得して五輪代表に内定した。入江は昨年の世界選手権女王ネスティー・ペテシオ(27=フィリピン)に4―1で判定勝ち。12年ロンドン大会から採用された女子ボクシングで日本勢の出場第1号となった。また、出場枠5の男子ウエルター級では岡沢セオン(24=鹿児島県体協)が5位決定トーナメント初戦に勝ち、五輪出場が懸かる11日の5位決定戦に進んだ。

 判定でレフェリーに右手を上げられると、入江は左腕を突き上げた。昨年の世界選手権準々決勝で敗れたペテシオに雪辱を果たし、東京五輪出場が決定。「今まで勝った試合の中で一番うれしい。世界女王に勝って決めることができて最高」と笑顔の花を咲かせた。

 世界選手権では消極的になり、1―4で判定負け。「気持ちで負けたのが悔しい」とこの日は得意のジャブで積極的に仕掛け、主導権を握った。右のカウンターやボディーも効果的で、2回にはホールディングで相手が減点。最大4点差の快勝だった。

 ボクシング漫画「がんばれ元気」を読んで「チャンピオンはカッコいい」と小2からグローブをつけ、中学までは全国で無敵。高1のインターハイでフライ級の並木月海(自衛隊)に初黒星後はさらにのめり込み、趣味のユーチューブ観賞でレナードやタイソンら昔の選手の試合も見て研究した。国際統括団体の不透明な運営による五輪除外危機、山根明前会長が辞任した日本連盟の騒動、新型コロナウイルスによる予選会場の変更など数々の試練を乗り越え、第一人者の並木よりひと足早く女子ボクシングのオリンピアン第1号に。中学の同級生で飛び込み五輪代表の三上紗也可に「一緒に出よう」と誓っていた19歳は、「東京では絶対に金メダルを獲りたい」と意気込んだ。

 ▼入江 聖奈(いりえ・せな)2000年(平12)10月9日生まれ、鳥取県米子市出身の19歳。小2から地元のジムでボクシングを始め、米子西高3年時に全日本選手権優勝。19年世界選手権8強。左ジャブ、右ストレートが得意な身長1メートル64の右オーソドックス。戦績は52戦44勝8敗。日体大では柔道の阿部詩と同級生で、同じ学科の阿部一二三は「教室でも凄いオーラを発している」。遠征には週1回は食べるというカップ焼きそば「U・F・O・」を持参するが、「マヨネーズを入れると一平ちゃん派になる」。

 ▽五輪のボクシング競技 1904年セントルイス大会から行われ、12年ストックホルム大会を除く全大会で実施。女子は12年ロンドン大会で初採用され、16年リオデジャネイロ大会からプロの参加が認められた。3分3ラウンド制で、勝敗はジャッジの多数決による判定、試合が一方的な場合のRSC(レフェリーストップコンテスト)、ダウン後の10カウントによるKOなど。東京五輪は男子8階級、女子5階級で、各大陸予選と世界最終予選(5月、パリ)で出場選手を決める。日本は男子4、女子2の開催国枠を持つ。会場は両国国技館。

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