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王座陥落の伊藤「凄く本当に失望した」 「凄くうまかった」ヘリングにペース握られ…

[ 2019年5月26日 16:26 ]

ボクシングWBO世界スーパーフェザー級タイトルマッチ12回戦   〇同級9位 ジャメル・ヘリング(33=米国) 判定 ●王者 伊藤雅雪(28=横浜光) ( 2019年5月25日    米フロリダ州キシミー )

試合後に伊藤(右)はヘリングと健闘を称え合う(撮影・田中哲也通信員)
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 伊藤は112―116、110―118、110―118の0―3判定で敗れ、2度目の防衛に失敗して王座から陥落した。試合後の伊藤のコメントは以下のとおり。

 ――試合を振り返って。

 「成長してないですね、サウスポーに対して、僕が。もっとファイトしてくると思ってました。それが自分の考えていた中にあったのかな。経験があるにも関わらず、最初からファイトできるのだと思ってしまってました」

 「ルディ(エルナンデス・トレーナー)からは一発じゃなく、一発を打った後にルーム(空間)をつくってその中で打てと言われたんですけど、(相手は)凄く左ボディーがうまかったです。そこが自分の中で凄く気になりながらやってしまったので、一発打って、くっついて、というふうになっちゃったかなと思います」

 「左が苦手というのは僕はあまり感じていなかったですけど…。得意ではないと思うんですけど、一番分かりやすい形になってしまいましたね。自分が追う、逃げられる、いいルームをつくれず、相手が打って、くっつく。あとは外から入っていくところを打たれる。もっと自分としては距離をつぶして、当たると思っていたんですけど」

 「ルディは135ポンド(ライト級)でやればいいと言いますけど、簡単に、また頑張りますとはなかなか言えない。言い訳はできないですね。素直に自分が足りなかったと思います。今夜はヘリングの日だったのかなと。改善の余地は凄く自分の中であるとは思うんですけど」

 ――試合後、勝ち負けはどう感じたか。

 「勝ったとも思わなかったし、雰囲気的に、まあ難しいのかなとは感じました。負けた気も別にしないっていうか、まともにもらったパンチも、もちろんないですし。内藤くんの試合(2015年2月の内藤律樹戦)みたいな感じかな。こういう展開を予想してなきゃいけなかったのかなっていうのは今となっては思いますよね。楽観視していたわけじゃないですけど、あそこまで回られるとは思わなかった。もう少し右からの左フックが当たると思ってました。スパーリングでよく当たってたんで、あれが当たるかなと思っていたんですけど、やっぱ凄く経験がある選手だなという感じはしましたね。体力もうまくごまかされましたし、効いているなというシーンはけっこう何度かあったんですけど、単発になって、その後にうまくごまかされた」

 「左ボディーがうまかったです。一発効きましたね、入り際に左ボディーを思い切り叩かれて。(効いたのは)気づかれてなかったですけど。うまかったです」

 
 ――相手のスピード、パンチの切れは、これまで以上にあったように見えたが。

 「全然なかったですね。左もパンチが軽いっていったらあれですけど、怖いパンチはないです。ただ、左ボディ―はやっぱりうまかったです。凄い入り際に打ってくるんで、なかなかルームをつくった中で打つというのができなかったです。凄くうまかったです。やっぱりキャリアがある選手だなというのは凄く感じました」

 ――自身で手応えがあるパンチも何発かはあった。

 「そうですね。何度かこいつ効いてるなというシーンはあったんですけど、そこからなかなかもう一発、二発というのが当てさせてくれなかった。うまかったです、素直に」

 ――途中から挑んだ接近戦には手応えはあったのか。

 「うーん、左に回らせないということを考えてはいたんですけど、1ラウンドをやった感じではそんなに怖いパンチもないですし、ただ全部それで終わっちゃったかな。避ける中で、そっからというのが全然、ちょっと自分に失望するくらい一発で終わってしまいましたね。ルディからは、1ラウンドから12ラウンドまでずっと距離をつくって戦えと言われてました。接近戦でクロスファイトをしながらルームをつくって戦えたと言われたんですけど、それが全然できなかったですね。その距離をなんとかつくれたのが7ラウンド、8ラウンドくらい。ちょっとつくって左アッパーを打てたかなっていうくらい。ただ、そのタイミングの中で左ボディーがうまかったんで、それ以上はちょっと、ずっとその時間をつくるというわけにはいかなかったですね」

 ――自分のペースではないと感じたのはいつ頃か。

 「3、4回くらいに、やっぱちょっとこのままじゃまずいなと思いながら、けどなんかこう、なんだろうなと気持ち悪いまま、でしたね。最近、良い意味でかみ合う試合がずっとあったんで、相手もちゃんと来てくれるという。それで自分の中で満足していた部分があったのかな。今日は技術の試合をされたんで…。アメリカで戦う中で勝ち負け以上のものを求めていたんで、だから余計に気持ちが前に出過ぎたのかなっていうのは多少感じたかもしれないですね」

 ――今後はしばらく休んでからか。

 「そうですね。どうしたら良いんだろうと思いますね。きょう凄く本当に失望しましたね。簡単にまた世界ができるか分からないクラス(階級)だと思いますし。僕の中でもここからと思っていたんですけど、そうですね、当たり前ですけど、なかなか切り替えられないですね。自分の中でも、もっとビッグファイトをしていきたかったんで、簡単に、じゃあまた同じポジションまで戻れるかといったら、凄く難しい世界だと思う。考えます」

 ――その部分(ビッグファイト路線がとん挫した)のショックが一番大きかったか。

 「僕はやっぱり、ただ続けていけばいいと思っているわけじゃないんで、何を残せるか、どんなことができるかというのを考えてやってきていました。もちろん手応えもありましたし、やってきたことはきっと間違いじゃないと思っているんですけど、そうですね、なんて言ったら良いかわからないですけど、本当に簡単じゃない世界なんで、これが現実とは思いたくないですけど、でもそうですね、ちょっとまだなんとも考えられないです。すいません」

 「日本の人たちに申し訳ないです。僕は夢を見ていたんで、まだ見れるかもしれないですけど、ちょっと簡単に見れない世界なんで、せっかく僕に期待してくれていた人たちがいたのに、それを裏切る形になったのが申し訳ないですね」

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