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坂本大輔 4回終了TKO負けで11年のプロ生活に幕 元日本ウエルター級暫定王者

[ 2018年7月9日 22:43 ]

引退試合で対戦した越川(右)と健闘を称え合う坂本
Photo By スポニチ

 ボクシングの元日本ウエルター級暫定王者・坂本大輔(36=角海老宝石)の引退試合が9日、東京・後楽園ホールで行われた。坂本は本来より1階級上のスーパーウエルター級8回戦で越川孝紀(27=セレス)と対戦。4回終了TKO負けで11年のプロ生活に幕を閉じた。通算成績は27戦14勝(8KO)10敗3分け。

 対戦相手の越川は千葉・習志野高の後輩で、プロ8戦目ながら日本ウエルター級15位のホープ。坂本自らがラストマッチの相手に指名した。会場には同校OBも多数駆けつけ、校歌の大合唱と「坂本コール」「越川コール」が入り乱れる中、序盤から豪快にハードパンチを打ち合い観客を沸かせた。これまで相手をコーナーに追い詰めてきた男が最後は自身が追い詰められるシーンが目立ち、4回終了後のインターバル中に自ら潔く棄権を申し出てTKO負けとなった。

 「勝って子供2人をリングに上げたかった」と試合後は涙。だが、そこはお笑い芸人を目指した経歴を持つ異色のボクサー。リングに上がった2人の子供を抱きかかえると、惜別のあいさつに途中にバックに流れる、ゆずの「栄光の架け橋」の歌詞を織り込み、会場の笑いを誘った。「何でもない普通のボクサーがチャンピオンになれた。引退試合までしてもらって最高に幸せ者です」。そして最後は「お世話になりました〜!」と絶叫。“聖地”に別れを告げた。

 高2年でボクシングを始め、国体で準優勝。拓大に進んだが、卒業後はお笑い芸人を目指し、よしもとの養成所に入った。「自分には才能がなかったので」と再びボクシングに戻ったが、デビュー直後の07年に傷害事件を起こして逮捕され、10カ月の謹慎処分も受けた。また、5年前に第1子が誕生したときにはボクシングをやめることを真剣に考えるなど“回り道”だらけのボクサー人生だった。

 鈴木会長に翻意されて続けたボクシングは坂本にとって「自分を表現できる唯一の方法」。昨年6月、日本ウエルター級暫定王座決定で同級2位の川崎真琴(RK蒲田)に判定勝ちし、35歳にして悲願のベルト獲得を果たしたが、同11月の正規王者・有川稔男(川島)との統一戦で敗れ、自身の“卒業”を決意した。

 引退試合は当初はフィリピン選手の予定だったが、「勝てそうな相手を選ぶのはボクシングに失礼」と、真剣勝負にこだわって越川を指名。「試合を受けてくれてありがたかった。(越川は)自分よりも気持ちが強かった。すごい選手です」と、真っ向勝負を受け止めてくれた後輩にも感謝。今後については「4年後には大塚で食堂を開きたい。(大輔の頭文字の)D食堂です」と夢を語った。

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2018年7月9日のニュース