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内山 圧巻「ちょっと当てたつもり」 日本人単独トップ世界戦10KO

[ 2016年1月1日 05:30 ]

3回、倒れた挑戦者のもとにリングドクターが駆けつける中、ファンにガッツポーズする内山

プロボクシングWBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチ12回戦 スーパー王者・内山高志 TKO3回1分47秒 オリバー・フローレス

(12月31日 大田区総合体育館)
 WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者の内山高志(36=ワタナベ)は挑戦者のオリバー・フローレス(24=ニカラグア)を3回TKOで下し、11度目の防衛に成功した。日本人の世界戦連続防衛記録では具志堅用高の13回に次ぐ単独2位。米国進出に弾みをつけた。WBA世界ライトフライ級王者の田口良一(29=ワタナベ)は挑戦者のルイス・デラローサ(30=コロンビア)に9回終了TKO勝ちし、2度目の防衛に成功した。

 フローレスはもん絶してキャンバスに崩れ落ちた。うつぶせになって微動だにしない。無残な敗者の姿が内山の強さを際立たせた。

 序盤は丁寧に左ジャブを突いた。主導権を握った王者にチャンスが訪れたのは3回。打ち終わりに空いた相手の脇腹に、5月に遊離軟骨除去手術をした肘を折って左拳を打ち込んだ。「埋まった感じ。ちょっと当てたつもりが、そのままでした」。決して強振したわけではない。的確に急所を捉える技術が、あっけない幕切れを呼んだ。

 世界戦10度目のKO勝利は日本人単独トップだ。防衛回数は日本人単独2位の11回で、具志堅用高の日本記録まであと2に迫った。かつて負傷した右拳は完治し、手術して左肘の痛みも消えたことで「これまでやりきる練習ができなかった。ストレスがなくなった」。納得いくまで準備した内山のパワーと落ち着きはこれまで以上だった。

 約6年ベルトを守り続けている。11月に行われた36歳の誕生日パーティーではお酒は最初の1杯しか口をつけなかった。朝食のパンはバターや砂糖を使わずパン焼き器で作る自家製だ。体重は常にリミットプラス4キロの63キロをキープ。年を取ると代謝が落ちて難しくなると言われる減量に苦しむことはなく「意識の違いじゃないですか」ときっぱり。徹底した自己管理が36歳になっても衰えを知らない理由だ。

 これだけ強い男を世界も放ってはおかない。次戦はいよいよ米国でビッグマッチ実現だ。既に無敗の前WBA世界フェザー級スーパー王者ニコラス・ウォータース(ジャマイカ)と今春、米国で対戦することで合意目前。渡辺均会長は「向こうもやりたいと言っているので実現すると思う」と明言した。

 内山は「ぜひやりたい。勝つ自信はあります」と言った。内山のTシャツの胸には「KING OF KINGS(王者の中の王者)」の文字があった。次はそれを世界のリングで証明する時だ。 (柳田 博)

 ▽内山―フローレスVTR 内山が危なげない試合運びで圧勝した。1、2回とも中間距離からの右ストレートを効果的に当てて優位に進め、相手に反撃の隙を与えなかった。3回も慎重に進めていた中、1分半すぎに強烈な左ボディーでダウンを奪って勝負を決めた。サウスポーのフローレスは中に入れず攻め手がなく、単発の左ストレートも効果がなかった。

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