RIZIN 新ブランド構築の試み、ムーブメント作り出せるか

[ 2015年12月25日 15:00 ]

格闘家たちの会見を身守る(右から)高田延彦・RIZIN統括本部長と榊原信行氏

 2000年代にブームを巻き起こした総合格闘技「PRIDE」の遺伝子を引き継ぐ「RIZIN」(さいたまスーパーアリーナ)は29日「SARABAの宴」と31日「IZAの舞」の2つの大会で行われる。SARABAは、07年に消滅したPRIDEへのけじめ、IZAは未来への闘いというコンセプトだ。桜庭和志VS青木真也、高阪剛VSジェームス・トンプソン、エメリヤーエンコ・ヒョードルVS新星シング・心・ジャディブなどカードも決定。高田延彦&総合プロデューサー・榊原信行氏による新イベントに期待は高まる。

 今回のRIZINはPRIDEとは違うものである。RIZINは、フェデレーション(協会)という考え方。団体として興行を立ち上げるのではなく、複数の団体が集う中立の闘いの場を作り出す。8人によるヘビー級トーナメントにも各国から王者クラスが出場する。

 PRIDEは団体間の選手引き抜きに伴うファイトマネーの高騰などで資金力不足に陥り、07年に営業権をUFCに譲渡。以降、大会が開かれることはなく消滅した。RIZINがそれと同じ道を歩むことはない。

 榊原氏は「サッカーで言うとチャンピオンズリーグのようなものをイメージ。協会的な立ち位置で、世界各国のプロモーションから選手を派遣してもらう。今も団体同士の選手の引き抜きとか、ボクが離れた時から変わっていない。そこに秩序はない。選手にとってボクらが用意できるのはお金とメディアの環境。どれだけ稼げるのか。それが担保にできたら協会の形が出来てくる」と説明する。選手にとって金と名誉を生み出す新しいブランドを構築するのが目的だ。

 斬新なエンターテインメント性でも盛り上げる。巨大スクリーンに選手を紹介する“煽り映像”を流し、テーマソングとともに花道を入場するというのはPRIDEが生み出したスタイルで、現在の世界の格闘技界のスタンダード。29日は、そのおなじみの演出を総ざらえ。31日は「また新しいムーブメントを作り出したい。見たことがない演出になる」(関係者)という。

 ところで肝心のカードはどうなのか。カギを握るのは石井慧が日本代表として参加するトーナメントではなかろうか。ストライクフォースの元ライトヘビー級王者キング・モーという実力者はいるものの、実力は未知数な選手が多い。それだけにパフォーマンスが爆発した時の衝撃もすごい。

 榊原氏はPRIDE時代に自ら見極め、クイントン・ランペイジ・ジャクソンやアリスター・オーフレイムを発掘している。今回も世界中のプロモーションを回って選手を吟味。29歳とまだ若い石井選手のパフォーマンスも見物だ。

 1993年の第1回UFCは無名の柔術家ホイス・グレイシーが圧倒的な力で8人トーナメントを制して時代を変えた。同年に8人が参加した第1回のK―1も開催されたが、ダークホースだったベテランの“石の拳”ブランコ・シカティックがすべてKOで優勝している。当時、学生だった記者は予想外の結果に、あっけに取られるとともに「何かすごいものを見た」との記憶が残っている。

 大会は年末にフジテレビで放送される。同局関係者は「最近、年末はひどい数字が続いている。3%以上あれば御の字。5%あれば本当にありがたい」と話しているが、RIZINサイドとしては0・1%でも多くの視聴率を取りたいのが本音だろう。

 冬の時代は長く、これがコケると日本の格闘技はさらに後退する。とにかく次につながる戦いを。来年あたりエメリヤーエンコ・ヒョードル対ブロック・レスナーなんてカードも見てみたい。PRIDEの熱よ、再び。年末に少しでも時間があれば、会場に足を運ぶ。この目で、何がすごいのか確認したい。(記者コラム)

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