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村田 世紀の一戦を分析「メイウェザーだから許される内容」

[ 2015年5月4日 10:05 ]

テレビ観戦したメイウェザー・パッキャオ戦を振り返る村田

 ロンドン五輪ミドル級金メダリストで「ボクシングマニア」を自称する村田諒太(29=帝拳)がメイウェザー―パッキャオ戦をテレビ観戦した。1日に豪快なTKO勝利でプロデビュー7連勝を飾り、今後2人と同じ中重量級で世界を狙う男の目に「世紀の一戦」はどう映ったのか。

 僕の予想はメイウェザーの判定勝ち、スコアは116―112でした。自分で付けた採点は115―113。スコアも試合展開もほぼ予想通りでした。

 パッキャオはパンチのスピードもあったし、反応もよかった。4回に追い詰めた時には倒す雰囲気もあった。それでも、あれ以上中に入れさせないメイウェザーの守備はさすがでした。ポイントを取られた次の回はすぐにプレッシャーをかけて取り返してくる試合運びのうまさもある。パッキャオは8回ぐらいから疲れたように見えたけれど、メイウェザーは最後まで動きが落ちなかった。あのスタミナは練習量の裏付けがあるからだと思う。

 でも、メイウェザーの勝ちでいいのかな?これが正直な今の気持ちです。攻めて観客を沸かせたのはパッキャオだけ。逃げて、当たったかどうかはっきり分からないようなパンチを放つメイウェザーにポイントが流れる。沸かせなかった方が勝ってしまう。メイウェザーは10ポイント・マスト・システム(各回ごとにわずかな差でも10―9で優劣をつける)という現在の採点方法に最も適したボクサーだということです。

 ブーイングがあって当然だと思う。名勝負はよく「敗者なきリング」と称えられるけれど「勝者メイウェザーだけのリング」だった。パッキャオもすっきりしないし、観客も満足しない。「あのラウンドは10―10じゃないか」と思っている人は多いと思う。採点方法を見直す時期に来ているのではないだろうか。

 これだけ世界中が注目する大きな舞台で、自分も戦いたいと思った。でも試合の中から得るものはなかった。僕はお客さんを喜ばせないとプロじゃないと思っている。この試合はメイウェザーだから許されるもの。もっともっと練習しなければいけない。(ロンドン五輪ミドル級金メダリスト、WBC同級7位)

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2015年5月4日のニュース