しずちゃん 師へ良薬!デビュー戦で敗れた相手にリベンジ
チャレンジマッチ・ミドル級 山崎静代25-15(判定)薛春秋
(4月2日 後楽園ホール)
余命3カ月半のトレーナーにささげる白星をつかみ取った。お笑いコンビ「南海キャンディーズ」のしずちゃんこと、山崎静代(34=よしもとクリエイティブエージェンシー)は、11年9月のデビュー戦で敗れた薛春秋(24=台湾)と対戦して25―15で勝利。末期の皮膚がんで闘病中の梅津正彦トレーナー(44)がセコンドにつき、2人で積み上げてきた練習の成果をリングで示した。
試合直前、硬くなっていた山崎の脚を梅津氏がパンパンと叩いて気合を入れた。その手の温かい感触とともに緊張が和らいでいくのを山崎は感じた。08年から築き上げてきた2人の信頼関係。「これから戦いにいくのに、凄く感謝の気持ちが出てきた」と涙をぬぐってからリングに向かった。
聖地・後楽園ホールはもちろん、都内で戦うのも初めてで、リングサイドには豪華な顔ぶれが並んだ。俳優の高橋克典や世界王者の内山高志、レスリングの浜口京子にプロレスラーの神取忍、芸人仲間も。「こんなに緊張したことはないぐらい」という大舞台だったが、梅津氏の支えがあれば怖くはなかった。
相手はデビュー戦で大差の判定で敗れた薛春秋。打たれても打ち返し、懸命に前に出た。ラウンドが進んでも気持ちを振り絞って前に出続けた。1ラウンドで7―2とリードすると、その後も5―4、7―5、6―4と接戦ながら優勢に進めて結果は25―15の完勝。「成長した自分を見せられた」と5年間の成果を示した。
試合後のリング上では「次の試合も、その次の試合も絶対に一緒に戦ってもらいたい」と呼びかけた。昨年5月の世界選手権後に再起を決意したのも、梅津氏を元気づけたい一心から。現在確定している大会は8カ月後の全日本選手権しかないが、梅津氏は「医者からはあと3カ月半と言われているけど、全日本まで頑張りますよ」と笑顔で答えた。「ボクシングに奇跡はない。普段の練習でできたことしか試合では出せない」と梅津氏はいう。しかし、奇跡を信じて、2人はまだまだ一緒に戦い続ける。
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