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山中 怒とうの5連打で2度目防衛!“神の左”で決めた

[ 2012年11月4日 06:00 ]

7R、グロッギーとなったロハスの顔面を再び山中の左が襲い、ロハスは前のめりにダウン

WBC世界バンタム級タイトルマッチ 山中慎介(7回36秒KO)トマス・ロハス

(11月3日 ゼビオアリーナ仙台)
 ダブル世界戦が行われ、WBCバンタム級は、王者・山中慎介(30・帝拳)が7回に怒とうの5連打でトマス・ロハス(32・メキシコ)を沈め、2度目の防衛に成功した。初防衛戦の元3団体統一世界スーパーフライ級王者ビック・ダルチニャン(36=オーストラリア)に続く実力者を下し、目標とする海外進出を強烈にアピールした。

 軽量級としては珍しい衝撃的なKOシーンに館内から驚きの声が上がった。山中の5連発を浴びたロハスは失神し、前のめりに倒れたままピクリとも動かない。その横で左拳を突き上げた王者は傷一つない顔を緩ませた。「仙台の皆さん、東北の皆さん、全国の皆さんどうでしたかー?(妻の)沙也乃(さやの)、豪祐(ごうすけ)、(滞在中の実家のある沖縄へ)迎えに行くから」と照れくさそうに宣言した。

 6回終了後のインターバルだった。大和トレーナーの「(長男の)豪祐が見てんだろ。自信持っていけ!」というゲキに山中が奮い立った。戦りつのKOシーンはその36秒後だった。左で軽いフェイントを入れた瞬間、右ジャブからの左ストレートでロハスの動きを止めた。右アッパーを繰り出した後の左ストレートは左頬をかすめたが、反撃するロハスの右フックをかわすと、最後は「GOD LEFT(神の左)」と命名したフック気味の左ストレートを一閃(いっせん)。豪快に相手の顎を打ち抜き勝負を決めた。

 自らに与えたプレッシャーをバネにしてきた。初防衛戦発表後の2月、山中は同棲中だった沙也乃夫人(27)に「防衛に成功したら結婚してください」とプロポーズし、絶対に負けられない4月の試合で勝利した。先月11日の30歳の誕生日。夫人からフェラガモのネクタイを贈られた。そのお披露目は勝つことを前提に予定している12月2日の祝勝会と決めていた。

 難敵を一蹴した山中の表情は自信に満ちあふれていた。「(僕の左は)凄いんじゃないですか、負ける気はしない。強い相手を用意してほしい」。同門の先輩で、目標とするWBC世界スーパーバンタム級名誉王者・西岡利晃(36)は先月13日、米国で世界4階級制覇ドネアとの世紀の統一戦を実現させた。「世界的にも認められるような王者になりたい」。王者の視線は強豪がひしめく海の向こうへと向けられている。

 ◆山中 慎介(やまなか・しんすけ)1982年(昭57)10月11日、滋賀県湖南市生まれの30歳。南京都高でボクシングを始め、3年時に粟生隆寛を破り国体で優勝。アマ通算34勝10KO・RSC13敗。06年1月プロデビュー。10年6月に日本バンタム級王座を獲得。11年3月に初防衛に成功。同11月にWBC世界バンタム級王座を獲得。1メートル71、左ボクサーファイター。家族は沙也乃(さやの)夫人、長男・豪祐(ごうすけ)くん。

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