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五十嵐 笑顔なき防衛「自己採点は10点」

[ 2012年11月4日 06:00 ]

3R、ナルバエス(右)に左アッパーを見舞う五十嵐

WBC世界フライ級タイトルマッチ 五十嵐俊幸(判定)ネストール・ナルバエス

(11月3日 ゼビオアリーナ仙台)
 ダブル世界戦が行われ、WBCフライ級は、王者・五十嵐俊幸(28・帝拳)がネストール・ナルバエス(30・アルゼンチン)を小差の判定2―0で下し、初防衛に成功した。

 右目尻を大きく切った五十嵐は、凱旋防衛にも笑顔はなかった。「初防衛は思っていたより厳しいものだった。根性で乗り切れた」。隣の秋田県出身。高校時代に国体優勝した仙台での試合は、終盤に追い上げられて2―0の判定で逃げ切った。

 中盤までは大きな進化を見せた。アウトボクシング一辺倒だったが、序盤から積極的に打ち合った。世界王者になったことで「接近戦もできるという自信」が芽生えた。5、6回には左ボディーから主導権を握ったが、出血で右目が見えなくなった終盤に失速した。

 「自己採点は10点」と厳しいが「精神力で世界を獲ったから今回も耐えられた」と話した。09年に結婚した栄子夫人に、7月の王座奪取後にやっと17万円のティファニーの結婚指輪を贈った。長男・比呂くんも2歳になった。守るものはベルトだけではなかった。

 「すぐに気持ちを切り替えてやりたい」。鬼門の初防衛直後に、元WBC世界ライトフライ級王者エドガー・ソーサ(メキシコ)が候補に挙がる2度目の防衛戦に目を向けた。苦戦はしたが、接近戦という「幅」を見せた五十嵐は進化の行く先をつかんだようだった。

 ◆五十嵐 俊幸(いがらし・としゆき)1984年(昭59)1月17日、秋田県由利本荘市生まれの28歳。秋田・西目高でボクシングを始め3年時にインターハイと国体で優勝。東農大に進学し3、4年で全日本選手権制覇。04年アテネ五輪出場。アマチュア通算77勝16KO・RSC18敗。11年2月に日本フライ級王座を獲得。今年7月にWBC世界同級王座を獲得。1メートル66、左ボクサーファイター。家族は栄子夫人、長男・比呂(ひろ)くん。

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