しずちゃん ド根性1勝!いきなりダウンも3度奪い返した

[ 2012年5月15日 06:00 ]

ニザモワ(左)にRSC勝ちした山崎

アマチュアボクシング女子世界選手権第4日

(5月14日 中国・秦皇島オリンピックセンター体育館)
 しずちゃんが五輪へ向け好発進した。アマチュアボクシング女子世界選手権第4日は14日、中国・秦皇島オリンピックセンター体育館でロンドン五輪の出場枠をかけて行われ、ミドル級(69~75キロ)世界ランク32位で、お笑いコンビ「南海キャンディーズ」のしずちゃんこと山崎静代(33=よしもとクリエイティブエージェンシー)は、初戦の2回戦でシャフノザ・ニザモワ(24=ウズベキスタン)とのアジア対決に、3回1分54秒RSC(レフェリーストップ・コンテスト)勝ち。国際大会で初勝利を挙げた。15日の3回戦では、世界ランク26位のシュトローマイヤー(ドイツ)と対戦する。

 勝者のコールを受けると、しずちゃんは両手を突き上げた。「無我夢中でした。負けられない気持ちというか、無心で」。右まぶたを腫らした顔から笑みが漏れた。

 劣勢から巻き返した。キックボクシングで06年世界選手権3位の実績を誇るニザモワの強烈なパンチを浴び、1回52秒、いきなりスタンディング・ダウンを奪われた。1回を終わって7―11。それでも前へ。気おされた相手はリズムを失う。2回55秒にスタンディング・ダウンを奪い返し9―7と形勢逆転した。

 3回は完全なしずちゃんペース。強烈な右ストレートで43秒にスタンディング・ダウン。そして1分54秒、ワンツーのラッシュで合計3度目のスタンディング・ダウンを奪ったところでレフェリーが試合を止めた。

 「相手が疲れてきていたので、盛り返そうと思った。がむしゃらに打ったけど、絶対にかなわない相手とは思わなかった」。この大会でアジア最上位になれば手に入る五輪切符獲得に向けて第一関門を突破した。

 漫画「あしたのジョー」に感動し、07年から趣味でボクシングを始めた。2年後に五輪種目に採用され「これは運命」と挑戦を決めた。それ以来、仕事の合間を縫って走り込み、楽屋の鏡の前でシャドーボクシング。1日の練習時間は最長8時間に及んだ。「争いを好まない」温厚な性格も少しずつ変わってきた。

 多くの後押しを受けた。登場時に巻いていた白い鉢巻きには親友の女子レスリング選手・浜口京子が「しずちゃん気合!」と書き込んでいた。観客席には無数の日の丸。両親も日本から駆けつけた。梅津正彦トレーナー(43)は右腹部に皮膚がんを患い「放っておいたら余命1年」と宣告された。手術は無事終わったが、今月末に再入院予定。一緒に闘ってくれる人がいる。だからこそ結果で応えたかった。

 ミドル級のアジア勢は5人が3回戦に進出しており、五輪出場権獲得までの道は険しい。しかも次戦の相手シュトローマイヤーは格上で初戦でシード選手を破り勢いに乗る。それでも世界ランク1位が敗れるなど今大会は波乱の様相。何が起きても不思議ではない。「強い選手はいっぱいいる。私は一戦一戦強くなっていきたい」。五輪資格は35歳未満。最初で最後の五輪に挑むしずちゃんの顔は完全にボクサーのものだった。

 ▼梅津正彦トレーナー (国際大会初勝利に)泣いた分だけ強くなった。しずちゃんは、相手よりは間違いなく泣いてきたので。病院を抜け出してきたかいがあった。

 ▼アマチュアボクシングのルール 今大会は1回2分で最大で4回まで。有効打で1ポイントとなり、ポイントの多い方が勝つ。ダウン自体にポイントは付かない。力量差がありすぎる場合やケガで続行不可能の場合などにレフェリーの判断で試合を止めるRSC(レフェリーストップ・コンテスト)は、プロボクシングのTKOに相当する。

 ▽ロンドン五輪への道 ミドル級の枠は12。当初は今大会の8強入りが五輪切符の条件とされていたが、各大陸に出場枠があり、内訳はアジア1、アフリカ1、アメリカ2、欧州3、オセアニアが1。今大会でアジア選手最上位になれば出場決定。残り4枠は推薦枠としてアジア、アフリカ、アメリカ、欧州に1枠ずつ。大会後に行われる第三者委員会で決まる見通し。

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