×

(5)長男が敷く3兄弟世界チャンプへの道

[ 2009年11月30日 06:00 ]

11月28日、前日計量をパスした亀田興毅はマッスルポーズを披露

 亀田3兄弟の父・史郎氏が掲げる目標の1つに「兄弟3人全員が世界王者」がある。海外では既に15組が達成している兄弟世界王者だが、国内では史上初。3兄弟となると世界でも初の快挙となる。

 06年8月、長男・興毅が世界初挑戦でWBAライトフライ級王座を獲得。野望への先陣を切ったが、甘くはなかった。07年10月、次男・大毅がWBCフライ級王者・内藤に判定負け。さらに反則騒動で史郎氏がセコンドライセンス無期限停止処分を受け、計画は大きく狂った。

 2階級制覇を狙いフライ級に階級を上げた興毅が、その内藤を標的としたのは単に敵討ちが理由ではない。「日本の場合、世界王座はWBAとWBCしか認められてへん。大毅も(同じ)フライ級やから大変や」と置かれた状況を嘆きつつ、弟の世界獲りを最優先に考えていた。家族で熟考を重ね、下した結論は「(WBA王者の)デンカオセーンの方が大毅とかみ合う」。読み通り、大毅は10月の対戦でデンカオセーンと接戦を演じ、判定で敗れたものの「次やれば必ず勝てる」と手応えはつかんだ。来年早々にも再戦の方向で話は進んでいるが、興毅が内藤戦で2階級制覇を達成すれば王座を返上し、大毅がWBCへ選択肢を広げることも可能となる。

 亀田家最強の呼び声が高い三男・和毅はまだ18歳。父・史郎氏は「和毅はじっくり育てる」と20代で世界獲りを実現させる青写真を描いている。和毅へレールを敷くためにも、亀田家としては今回、興毅が勝って大毅の世界獲りに集中する必要がある。大毅の挫折で一時停車を余儀なくされた一家の前に、またしても内藤が立ちはだかるのか――。運命の一戦は29日午後8時30分、さいたまスーパーアリーナでゴングを迎える。(特別取材班) [2009年11月29日付 紙面記事]

続きを表示

2009年11月30日のニュース