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西岡 逆転KO!24年ぶり海外防衛

[ 2009年5月25日 06:00 ]

2度目の防衛に成功して喜ぶ西岡利晃

 世界ボクシング評議会(WBC)スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦は23日、メキシコのモンテレーで行われ、王者・西岡利晃(32=帝拳)が、日本人では24年ぶりとなる海外防衛を豪快なKO勝ちで飾った。2度目の防衛戦に臨み、同級2位ジョニー・ゴンサレス(27=メキシコ)に初回にダウンを奪われながらも、左ストレートのワンパンチで3回1分20秒に逆転KO勝ち。85年に韓国で元WBC世界スーパーフライ級王者・渡辺二郎(大阪帝拳)が成功して以来、日本人2人目の海外防衛を成し遂げた。

 切れ味鋭い左ストレートが、敵地を一瞬にして沈黙させた。3回。初回にダウンを喫した西岡が、ゴンサレスのあごをピンポイントで打ち抜く。背中からリングに叩きつけられた挑戦者に、もう反撃する余力は残っていなかった。
 「やったぞ~!」。葛西トレーナーに肩車された王者は、両手を突き上げ何度も吠えた。指名試合のため、入札によりメキシコ開催が決まった2度目の防衛戦。日本人として海外では24年ぶりとなる防衛成功にKOで花を添えた。「実は左を出した瞬間は覚えてないんです。ただ、練習で何度もやってきたから自然と出たんですかね」。スパーリングは過去最多となる150回を超えた。かつて天才と呼ばれた32歳は、大きな挫折を経て努力の人に変ぼうを遂げていた。
 01年12月、練習中に左アキレス腱を断裂。完治してからも本来の動きは戻らず、苦渋の時を味わった。リング上のパフォーマンスがすべての世界。所属する帝拳ジムの本田会長から現役引退を勧められたこともあったが、それでもあきらめなかった。08年10月に5度目の挑戦で念願の世界奪取に成功。「まだまだもっと強くなれる」。05年に結婚した美帆夫人(28)との間に長女・小姫ちゃん(3)が生まれ、家族の存在が何よりの力になった。
 そんな西岡には夢がある。本場ラスベガスのリングでの防衛戦。試合後、沈黙に包まれた約1万2000人の観衆からは西岡への歓声が上がった。国籍に関係なく、万人を魅了する強さがあれば、その夢は必ずかなうはずだ。

 ◆西岡 利晃(にしおか・としあき)1976年(昭51)7月25日、兵庫県加古川市生まれの32歳。高校3年の時、JM加古川ジムからプロデビュー。98年12月に日本バンタム級王座を獲得。00年6月にWBC世界同級王者ウィラポン(タイ)に判定負け。同年9月に帝拳ジムへ移籍してからも3度、ウィラポンに挑戦し王座奪取ならず。08年9月、ナパポーン(タイ)に判定勝ちでWBC世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦を制し世界奪取。その後、正規王者に昇格した。1メートル69の左ボクサーファイター。

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2009年5月25日のニュース