【内田雅也の追球】「1点」作戦と波状攻撃

[ 2025年9月27日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神6―2中日 ( 2025年9月26日    甲子園 )

<神・中>初回、大山は四球で出塁する(撮影・後藤 大輝)
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 阪神監督・藤川球児は試合後、「今日から新たなゲームプランでやっていこうということで」と明かした。「この甲子園という舞台で残り試合、大事にやっていこう」

 号令をかけ、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(10月15日開幕)に向け、スイッチを入れたのだ。CSの舞台も同じ甲子園。もう消化試合ではなく、予行演習の場である。

 その一端が見えたのが1回裏の攻撃だった。先頭の近本光司が左前打で出塁すると、中野拓夢は初球を投前バントで送ったのだ。リーグ断トツ43個目の犠打だった。これが今季の攻撃である。

 今月7日に早々と優勝を決めた後、初回無死一塁を迎えるのはこれが4度目。これまで2番・中野はどうだったか。

 ▽9日、DeNA戦(甲子園)中飛
 ▽13日、巨人戦(東京ドーム)投ゴロ
 ▽18日、広島戦(マツダ)捕前犠打

 強攻策2度にバント1度だった。この日のバントには来たるべき決戦に備える決意、あるいは闘志が感じ取れる。

 実は前日25日の全体練習とこの日試合前の練習で各選手がいつもより丁寧にバントをしているなと感じていた。ケージに入って1球目をバントするのだが、誰もが大事そうに転がしていた。

 送りバントは1点を取りにいく作戦とされる。2死二塁から佐藤輝明が左前適時打してバントの目的は果たしていた。

 ところが、この夜はその後、波状攻撃を呼んで一気に4点を奪った。新たな流れを生んだのは大山悠輔である。

 2死一塁の打席。柳裕也に見逃し、ファウルと2球で追い込まれながら、際どい内外角球を見極め、ファウルで粘り、7球目で四球を選んだ。

 リーグ最多の四球はこれで70個に達した。出塁率が小園海斗(広島)に次ぐリーグ2位という貢献度がわかる。大山らしさにあふれていた。

 この後、前川右京死球で満塁となり、坂本誠志郎が走者一掃の二塁打を放ったわけだ。

 藤川はCSに向け「とにかく勢いをつけたい」と短期決戦のキーワードを口にした。CSやその先の日本シリーズでは1点の重要性がより高まる。狙い通り1点を奪えたのは喜ばしい。そして、1点を4点に化けさせた打線のつながりは頼もしい。 =敬称略=
 (編集委員)

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