【栗山英樹氏観戦記】長嶋さん、王さんの後押し受け新時代を切り開く翔平 歴史をつなぐ真剣勝負に感謝

[ 2025年3月19日 05:30 ]

ナ・リーグ   ドジャース4―1カブス ( 2025年3月18日    東京D )

放送ブースで笑顔お見せる栗山CBO(右)
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 侍ジャパン前監督で日本ハムのチーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)の栗山英樹氏(63)が、カブス―ドジャースのメジャー開幕戦の観戦記を寄せた。日本ハム監督時代の愛弟子であるドジャース・大谷をはじめ、日本人選手5人が主軸として名門2チームに在籍。日本でのメジャー開幕戦は日本野球の歴史を紡いできたからこそ実現したとし、選手たちに感謝の思いをつづった。

 試合前、グラウンドに並ぶ選手たちを見て思った。こんな日が来たんだ、と。23年のWBCで一緒に戦った4選手(今永、大谷、山本、佐々木)。あのとき、本大会で先発させた投手5人のうちの4人がそこにいる。さらに、大会直前のケガで侍ジャパンを辞退となってしまった鈴木の姿もある。メジャーの名門2チームが彼らを主軸選手として、日本での開幕戦で、真剣勝負を繰り広げた。

 一昔前まで、メジャーは日本野球にとって憧れだった。でも、今は違う。その憧れを背負って彼らが日本に帰ってきた。それをこんな間近で見ることができた。これほど幸せなことはない。日本野球の歴史を築いてきた先人たちも「おまえたち、よくやってくれた」と天国で喜んでくれているはずだ。選手たちに心からありがとうと言いたい。

 逆転した5回。翔平は状態がもう一つ上がらない中、追い込まれたところで対応して右前打した。ベッツ、フリーマンが不在。自分にマークが集中すると分かっていて、自分の調子は関係なくチームのために打った。こういう一打は試合の流れを変える。打つだけではない。時に笑顔を見せ、声を出す。どういう行動を取ったら、チームが勝ちに向かうか。そういうことをどんな状況でも幅広くできるように、また前に進んだなと感じた。

 思えば、翔平の二刀流をスタートさせた13年のことだ。周囲から心配する声しか聞こえてこなかった中で、長嶋茂雄さん(巨人終身名誉監督)と王貞治さん(ソフトバンク球団会長兼特別チームアドバイザー)が背中を押してくれた。長嶋さんから「可能性があるならやってみなさい」との言葉を頂き、王さんはソフトバンクとの試合前にわざわざ日本ハムのロッカーまで足を運んでくれて「大変だけど、球界のために頑張ってくれ」と言っていただいた。その言葉がどれほどプラスになったか分からない。

 私は、よく翔平のことを「野球の神様から遣わされた」と表現するけど球界には大きな使命を担う人が存在すると思っている。長嶋さんも王さんも、球界の歴史をつなぐという使命を担い翔平が歴史を変える選手になると感じて「勝負しなさい」と応援してくれたのだと思う。お二人の言葉は今、目の前のグラウンドに確かにつながっている。

 日本人選手のメジャー進出は、95年の野茂に始まりイチロー、松井、ダルビッシュら多くの選手が続いた。あのとき、今から60年ほど前、長嶋さんがメジャーの誘いを受けていたらどうなっていただろうか。もしかしたらもっと早く、こんな時代が来ていたのかもしれない。でも、長嶋さんがメジャーに行っていたら、王さんとのONの活躍はなく、巨人のV9もなかったかもしれない。ならば日本野球がここまで繁栄したかは疑問だ。どちらが良かったのかは誰にも分からない。

 ただ、いま考えれば必然なのだろう。長嶋さん、王さんの後押しを受けて新たな時代に翔平がいる。歴史はつながっていく。それをまざまざと感じさせてくれた開幕戦に、改めて感謝したい。(侍ジャパン前監督)

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