涌井1安打斬り!ダルお手本内角攻め

[ 2008年11月2日 06:00 ]

<巨・西>8回1失点で勝利投手の涌井(左)は大久保コーチに抱きつかれ笑顔を見せる

 【西武2―1巨人】若きエースが同い年のライバルを手本に快投を演じた。日本シリーズが1日に開幕し、西武の先発・涌井秀章投手(22)が8回を1安打1失点の好投で、シリーズ初登板初勝利。親友の日本ハム・ダルビッシュ有投手(22)がCSで見せた内角攻めを実践し、巨人・上原浩治投手(33)との投手戦を制した。就任1年目の渡辺久信監督(43)の下、4年ぶりの日本一を目指すヤングレオは最高のスタートを切った。

【西武優勝パネル


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 敵地で揺れたブルーのフラッグが最高に心地よかった。ウイニングボールを大事にバッグへしまい、向かったお立ち台。涌井は左翼席の歓声に左手を上げて応えた。
 「全国放送だったんで頑張っちゃいました。向こうもエースで1点勝負になると思っていた。理想通りのピッチングができてよかったです」
 日本シリーズ初登板。涌井は2週間前のライバルの姿を脳裏に焼き付け、マウンドに上がった。10月18日の日本ハムとのCS第2ステージで、味方打線がダルビッシュのシュート攻めに屈した、あの試合だ。最速148キロの直球で内角を意識させ、勝負球のフォーク、スライダーで3回までパーフェクト。4回2死二塁、ラミレスをシュートで完全に詰まらせたが、右前の打球をボカチカが捕球できず、初安打が先制点に絡んだ。これが許した唯一の安打だった。
 「CSのダルみたいに、次の投手のために意識づけをさせようと。シュート、シュートで厳しくいくというのはあったけど、もう少しいけたかな」。勝ち越した直後の6回1死一、二塁では、前の打席でシュートを意識させたラミレスを外角低めの134キロスライダーでバットをへし折り投ゴロ併殺に。115球のうちシュートは14球だったが、重量打線を分断するには十分だった。
 そして、腕を強く振ることで変化球も生きた。宮崎・南郷で行われたCS直前合宿。シーズン終盤、制球重視になって腕を強く振れなかった反省から、三塁の位置で本塁からノックを打ってもらい一塁まで約35メートルの“遠投”を繰り返した。10月30日にはブルペン投球で腕の振りに違和感を感じると、中断して三塁の位置から一塁へ全力投球した。「もう一度腕の振りを鍛え直した。きょうは腕を強く振った結果、ボール球を振ってくれた」。自分なりの調整方法で臨んだ大一番。シリーズで1勝でもすれば知人から高級腕時計のご褒美を約束されていたが、CSからプレーオフ3連勝でしっかりとゲットした。
 テレビの解説で親友ダルビッシュが見守る一戦で快投。「ダルが辛口だった?アイツはそういうヤツなんすよ。負け惜しみです」と笑った。次回は中4日で6日の第5戦が有力。「次は最後まで投げ切りますよ」。巨人有利の下馬評を右腕一本で覆した22歳は、力強い言葉を残してバスに乗り込んだ。
 <「初戦で緊張」もグラマン“復調”>グラマンが1点リードを死守した。9回から登板していきなり木村拓に二塁内野安打。続く小笠原の中前に抜けそうな打球を片岡が好守。1死を取るとラミレスをチェンジアップで投ゴロ併殺打に仕留めた。「初戦で緊張した。片岡のグレートプレーに救われ、あれで落ち着けた」。シーズン終盤の不調から復活の兆しを見せ「これからも大事な試合で自分の投球をしたい」と自信を見せた。

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2008年11月2日のニュース