ロコ 銀で北京五輪締めた!2大会連続メダル 黄金の夢は4年後へ続く

[ 2022年2月21日 05:30 ]

北京五輪最終日・カーリング女子決勝   日本3─10英国 ( 2022年2月20日    国家水泳センター )

カーリング女子で銀メダルを獲得し、笑顔で写真に納まる(左端から時計回りに)吉田知、吉田夕、藤沢、石崎、鈴木
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 カーリング女子世界ランク7位の日本(ロコ・ソラーレ)は20日、決勝で同8位の英国に3―10で敗れて銀メダルとなった。金メダルには届かなかったが、18年平昌銅を超える史上最高成績。スキップ藤沢五月(30)、サード吉田知那美(30)、セカンド鈴木夕湖(30)、リード吉田夕梨花(28)の平昌メンバーに石崎琴美(43)が加わったチームが、史上最多18個のメダルを獲得した日本選手団の活躍を締めくくった。夜には閉会式が行われ、17日間の祭典は幕を閉じた。

 世界の頂に届かなかった心の痛みは、時の経過が癒やしてくれた。満足感には程遠い試合内容で英国に屈し、ロコのメンバーから涙がこぼれる。3位決定戦を制した18年平昌とは違い、負けて終わった夢舞台。コーチらにねぎらわれ、メダルセレモニー、会見と進む中、銀の勲章の重みは確かな実感に変わった。

 藤沢「こんなに悔しい表彰台ってあるんだなって感じた。でも、“4年前よりいいんだよ”って自分で言い聞かせていた。このチームを誇りに思う」

 4年前の3位決定戦の再戦となった英国との決勝。序盤から押される展開で、悪夢が待っていたのは第7エンドだ。ダブルテークアウトを狙った藤沢のショットがわずかにずれ、英国に大量4点を献上。決勝のショット成功率は藤沢が69%、サード吉田知も今大会11試合目で最悪の64%にとどまった。第9エンド終了で、潔く負けを認めるしかなかった。

 吉田知「これも神様がくれた成長するチャンス。この五輪はよく頑張ったと、自分たちを褒めたい」

 吉田夕「平昌から1つだけだけど、いい色のメダルを獲れた。それだけのことを、自分たちがしてきた」

 鈴木「改めて、世界一を決める大会で優勝したいという思いが強くなった」

 銅を獲得した平昌では「そだね~」やハーフタイムの「もぐもぐタイム」に注目が集まり、メンバーは戸惑いを隠せなかった。

国内の試合では、その強さゆえに、相手を応援する声が大きく、観客がロコの負けを願っているような雰囲気を感じることもあった。五輪で結果を残さない方が楽だったのか。手に入れた銅メダルを見ることさえ、苦く思った時期もあった。

 苦境を乗り越えられたのは、仲間がいるからだ。20年7月の国内合宿。自転車でのトレーニングで、最も体力が劣る藤沢が、遅れながらも懸命に坂道を上ってきた。「諦めそうになったけど、みんなが前にいたから頑張れた」。試合後のミーティングでは「勝ち負けにかかわらず、しっかり振り返るようにしたい」と吉田知。よりコミュニケーションを密にした。

 常に穏やかに団結してきたわけではなかった。昨年9月の日本代表決定戦に向け、戦い方、体調の整え方を巡って4人の意見が割れた。吉田知は「自分に可能性はない」と引退も覚悟。戸惑う妹の吉田夕の相談を、鈴木が温かく聞き入れた。危機のたびに腹を割った話し合いを重ね、信頼を一層深めた。

 日本代表決定戦では連敗スタートで大ピンチに。そこから喜怒哀楽をさらけ出して開き直り、ミラクル3連勝で北京への道をつないだ。北京でも、ランクで劣る中国が覚醒して日本のライバルを撃破。1次リーグ最終戦で敗れながら、他国に救われて4強に残り、そして決勝を戦った。この経験が、今後のカーリング人生で大きな意味を持つ。

 藤沢「自分に今、声を掛けるとしたら“絶対にいつか、この舞台にまた戻ってこい”と言う」

 吉田知「私たちはまた今日から、ここからまた始まると思う」
 涙が乾いた瞳で見つめるのは、26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪での戴冠。逆風にさらされても、壁にぶつかっても、みんなで笑い、みんなで泣けば、きっと乗り越えられる。感情を揺さぶるロコ劇場は、これからも続いていく。

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