ケイリン代表・脇本、応援追い風に金獲る 静岡開催・自転車競技は有観客「感謝の気持ちしかない」

[ 2021年7月12日 05:30 ]

オンライン会見に臨んだ(左から)小林、脇本、新田(日本自転車競技連盟提供)
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 東京五輪に出場する自転車トラックの日本代表が11日、開幕前最後となるオンライン会見を行った。首都圏では原則無観客となるが、同種目の行われる静岡の伊豆ベロドロームは有観客での開催が見込まれている。男子ケイリンに出場する脇本雄太(32=日本競輪選手会)は、練習拠点でもある会場の応援を力に変え、発祥国として悲願の金メダル獲得を改めて目標に掲げた。

 有観客が、大きな追い風となる。脇本が疾走する舞台は、静岡・伊豆ベロドローム。新型コロナウイルスの感染拡大で今大会全750セッション(時間帯)の約96・5%が観客を入れずに行われる中で、わずか3・5%という数少ない有観客セッションとなる会場で「(観客が)実際に見て風を感じることを実現できる大きなチャンスをもらったと思っている。お客さんが入ることに感謝の気持ちしかない」と日本のファンの前で走ることができる喜びを語った。

 日本発祥であるケイリン。08年北京五輪に永井清史がマークした銅メダルが最高成績で、新田祐大とともに自国開催の舞台で悲願の金メダル獲得が期待されている。伊豆ベロドロームを拠点に決戦に備え「五輪のためだけに5年を費やしてきた」と脇本。観客の前で歴史をこじ開ける瞬間を待ちわびている。

 初出場だった前回の16年リオデジャネイロ五輪は13位に終わり、「洗礼を受けた」と振り返る。トップスピードを持続させる持久力を磨き、20年世界選手権で銀メダルを獲得。会見直前まで行っていた沖縄合宿を経て、仕上がりは順調。「五輪が楽しみ」と話した。

 脇本がこぐペダルには、多くの思いが乗っている。メダル獲得を楽しみにしていた母・幸子さんが、11年7月に他界。「メダルを獲ってほしいという母の気持ちがあった。しっかり約束を守りたい」。最近では伊豆ベロドロームからも近い熱海で土砂災害があり「自分も水害被害に遭ったことがある。言葉が出ない」とも明かす。複雑な感情を胸にしまい、一世一代の勝負に向かう。

 ◇脇本 雄太(わきもと・ゆうた)1989年(平元)3月21日生まれ、福井市出身の32歳。科学技術高で自転車競技を始め、国体少年1キロタイムトライアルで優勝。卒業後の08年競輪デビューし、G1・5勝。14年アジア選手権ケイリンで優勝。16年リオ五輪代表。W杯のケイリンで通算2勝。東京五輪にはスプリントでも出場。1メートル80、82キロ。

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2021年7月12日のニュース