福岡が80メートル独走トライ 代表同僚・田村もお手上げ「スペシャル」ラグビートップリーグ

[ 2021年5月8日 20:42 ]

ラグビートップリーグ・プレーオフトーナメント準々決勝   パナソニック32―17キヤノン ( 2021年5月8日    埼玉・熊谷ラグビー場 )

<パナソニック・キヤノン>後半17分、キヤノン・田村(左)を振り切り、トライを決めるパナソニック・福岡(撮影・吉田 剛)
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 パナソニックがキヤノンを32―17で下して4強入り。4月に順大医学部に進学し、今季限りで現役を引退するWTB福岡堅樹(28)は、後半17分に80メートルを独走するとトライとディフェンスで勝利に貢献。自らの現役生活を1週間伸ばし、15日の準決勝(大阪・花園ラグビー場)ではトヨタ自動車と対戦する。

 ホーム熊谷での最終戦。上限5000人の入場制限が掛かる中、ブリリアントなトライを目撃した4651人のファンの1人が、「世界1速いDr 福岡堅樹 君のTRYを忘れない」と書かれたボードを掲げた。福岡もニッコリと笑う。好天に恵まれた熊谷のピッチを、気持ち良さそうに80分間走り続けた。

 「チームがいいディフェンスを繰り返した。カウンター攻撃は強みの一つ。(相手の攻撃を)しのいでからの自分たちの攻撃で、メンタル的にも勢いを与えるトライになったと思う」

 20―3で折り返した後半は風下。開始から防戦となり、同7分にはSO田村主将のトライとゴールで10点差とされた。その後もボールを保持され、嫌な雰囲気が立ち込めた同17分、田村のキックに反応してバックアップ。22メートルライン付近でボールを獲得すると、一気にギアを上げた。センターライン付近で田村を外で交わすと、敵陣に入りNo・8マフィをステップで抜き去った。W杯を2大会連続で共に闘った2人との1対1を制し、最後はインゴールにダイブした。

 「チームの強みはディフェンスだと思う。そこから自分たちの流れを作ることができた」と振り返ったように、リーグ戦7試合では全16チームで唯一の2桁となる76失点。福岡のトライの直前も15人がコネクトし、粘り強く守ったからこそ、攻め手がなくなった田村にキックを蹴らすことができた。福岡自身も献身的なバックアップと確実性の高いタックルでピンチの芽を摘み、前半32分にはジャッカルにも成功。ロビー・ディーンズ監督も「今日のディフェンスには満足している。その中でも福岡あが光っていた。ディフェンスでも貢献が大きかった」と称えた。

 負ければ引退という状況で、リーグ戦から数えて今季通算10トライ目を挙げ、改めて日本ラグビー史にその名を残すウイングであることを証明した福岡。田村も「堅樹はスペシャルなプレーヤー。(トライは)しょうがない」と最大級の賛辞を贈った11番が、自らの花道を飾るまで、あと2勝と迫った。

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2021年5月8日のニュース