松島、日本に届けた仏初トライ!クレルモン移籍2戦目「僕が試合に出ることで盛り上がると思う」

[ 2020年9月21日 05:30 ]

ラグビー欧州チャンピオンズカップ準々決勝   クレルモン27―36ラシン92 ( 2020年9月19日    フランス・クレルモンフェラン )

<クレルモン・ラシン92>クレルモンの松島(下)は後半29分、移籍後初トライを決める
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 クレルモンのFB松島幸太朗(27)が、フランス移籍2戦目で公式戦初トライを挙げた。6日のデビュー戦では右内転筋を痛めて途中交代したが2戦ぶりに先発復帰して後半29分にトライ。14年に現名称・制度となった同大会でも日本人として初出場初トライと記録ずくめの一日となった。昨年9月20日、ロシアとのW杯開幕戦でハットトリックをマークしてから1年。3年後にW杯開催を控える地で、新たな一歩を踏み出した。試合は27―36で敗れ、敗退が決まった。

 デビュー2戦目、クラブ欧州一を争う大舞台で、待望のシーンは訪れた。15―33の後半29分、ゴール前ラックから直接パスを受けた松島が、自ら勝負に出た。外へ軽くパスダミーするや否や、内へ鋭くステップを切る。爆発的な加速でディフェンス2人をかわし、10メートル先のインゴール中央にダイブ。さらなる追っ手にタックルを浴びて苦もんの表情を浮かべたが、Matsushimaの名がはっきりと刻まれた。

 「苦しいところでチームがつないでくれたボールを、自分が決めることができて良かった。今季はチームが若返っているので(敗戦は)仕方がない」

 チームも松島も苦しい80分間だった。両軍シンビンが2人ずつ出る大荒れの展開。クレルモンはセットプレーで苦しみ、密集では反則を繰り返しPG8本を許した。松島もトライシーン以外では敵陣やスペースがある場面でボールを持つ機会がほとんどなかったが、裏を返せば、わずかなチャンスをモノにする嗅覚と決定力を証明してみせた。

 1年前は熱狂の中心にいた。9月20日のW杯開幕ロシア戦を前に、同僚のCTB中村亮土(サントリー)にハットトリックを宣言したことを会見で暴露されたものの、見事に有言実行。ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチから「外からフェラーリが飛んできた」と大絶賛され、大会5試合でチーム最多の計5トライを記録した。

 あれから1年。ラグビー人気拡大の絶好機だったが、新型コロナウイルスの影響で今年の日本代表戦は全て中止となり、トップリーグも来年1月まで始まらない。シーズン開幕前には、時計の針が止まったままの日本に向けて「僕がしっかり試合に出ることで(日本も)盛り上がると思う」と不退転の決意を語っていた。試合は完敗とあり、渋面ばかりを浮かべたが、このトライは日本にとっても希望の光となる。

 今季の欧州一への道のりは断たれたが、来年5月まで続くリーグ戦は始まったばかり。「これからタフな戦いが続くのでミスを少なくして、最後までチームのスタイルを出していけるようにしたい」。3年後、再び熱狂の中心に君臨するために、松島は戦い続ける。

 ▽19年9月20日W杯開幕戦VTR 日本は味スタでロシアと対戦。格下と思われた相手だったが、前半4分に大会初トライを許し追い掛ける展開に。重苦しい空気を一蹴したのが右ウイングで先発した松島で同11分にまず1つ目のトライで2点差に。同38分にはCTB中村から見事なオフロードパスがつながり逆転トライ。後半28分にハットトリックを達成し、30―10で快勝。その後は当時世界ランキング2位のアイルランド、サモア、スコットランドと1次リーグ全勝で史上初の8強入り。準々決勝では大会を制した南アフリカに3―26で敗れた。

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