規格外だった輪島さん 高級外車に銀座のクラブ 懸賞金の税金天引き1号

[ 2018年10月10日 08:20 ]

第54代横綱・輪島さん死去

90年、日大の篠竹監督(左)と試合を見つめる輪島
Photo By スポニチ

 【元本紙担当記者が語る名横綱・輪島の素顔】 豪放磊落(らいらく)で天真爛漫(らんまん)な元人気横綱の死は残念でならない。横綱時代のこと。輪島さんが体調を崩し、本場所を途中休場して那須温泉で療養することになった。宿泊先で待ち構えていたところ、朝早く部屋を出た輪島さんが戻ってきたのは夕刻。各方面に取材して翌日の紙面で“休場中の横綱がゴルフ?”と書いた。

 その反響が大きかったようで、場所後の稽古始めでちょっとした騒動が起きた。「ゴルフをしてないのに、したとウソの記事を書いた記者がいるから稽古はしない」と大勢の報道陣の前で駄々をこねた。稽古後に取材に応じるという約束で記者が集まっていたから、みんな大慌て。当時の師匠の花籠親方に諭され30分後に稽古を始めた。そういう感じで、良いときも悪い時も話題に事欠かない横綱だった。

 地方場所ではホテルに宿泊。高級な外車を乗り回し、銀座のクラブで芸能人に会うとすぐにごちそうしてしまう“タニマチ”のような人の良いところもあった。稽古も基本の四股、てっぽうはあまりやらずランニングが中心。やることなすこと全て規格外だった。

 そんな輪島さんの“遺産”は懸賞金の税金の天引き。昔は税込みで全額渡していたが、ある時、輪島さんが豪遊して懸賞金を全部使い果たし、その年の確定申告で800万円の追徴課税を受ける珍事があった。協会の配慮で事なきを得たが、それ以降は納税引当金を事前に差し引いて、懸賞金を渡すようになった。これもいまだに1人しか出ていない学士横綱の功績だろう。輪島さん、ごくろうさん。 (東京相撲記者クラブ会友・大隅潔)

続きを表示

2018年10月10日のニュース