前代未聞の二刀流!スノーボーダーがアルペンスキーで金メダルの快挙

[ 2018年2月17日 16:13 ]

アルペン女子スーパー大回転を制したチェコのレデツカ(AP)
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 スノーボードの世界女王がスキーのアルペン競技で金メダルの快挙を成し遂げた。17日に行われた女子スーパー大回転で、エステル・レデツカ(22=チェコ)が1分21秒11で優勝。ソチ五輪金メダルのアナ・ファイト(28=オーストリア)をわずか0・01秒差で抑えての大番狂わせを演じた。

 「私はこの会場にいる唯一のスノーボーダーだと思う」とレデツカは誇らしげに自らのアイデンティティーを示した。祖父はアイスホッケーのチェコスロバキア代表で、母親はフィギュアスケーター、父親は有名ミュージシャン。多才な家族に囲まれ、レデツカの多才さも育まれた。

 2歳からスキー、5歳からスノーボードを始め、どちらものめり込んだ。競技を続ける途中では、数え切れない人たちから「どっちもやるのは無理だ。高いレベルにいきたければ、どちらかに絞るべきだ」と助言を受けたという。誰に聞いたってそう言うだろう。

 しかしレデツカはどちらもあきらめなかった。スノーボードで12年、スキーでも16年にW杯デビューを果たした。トレーニング期間を3週間ごとに区切り、両方の種目をそれぞれ強化。今大会は史上初のスノーボードとアルペンスキーの二刀流で出場を決めた。

 「他の選手には大きなプレッシャーがかかっていて、彼女たちはリスクを取ろうとしなかった」。スノーボードのパラレル大回転では昨年の世界選手権を制したほどだが、スキー大回転のW杯ではこれまで19位が最高。あくまで伏兵とあって、恐れることなく攻めの滑りに徹した。

 それでもゴールした瞬間は目を疑ったという。「間違いに決まってると思った。違う人のタイムだろうって」。しかし間違いではなかった。惜しくも銀メダルに終わったファイトは「彼女はスノーボードをやっているし、どれだけの実力かよく知らなかった。でも彼女は金メダルに値する力を持っていた」と称えた。

 二刀流を結実させたレデツカは「スキーでの金メダルは夢だった。でももっとキャリアを積んでからだろうと思っていた」と喜びをかみしめた。24日には本職のスノーボードが控えている。いや、五輪金メダルのスキーヤーとあれば、もうどちらが本職とは言えそうにない。

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