驚かされた精神力の強さ フリーはミス1つまでなら羽生が逃げ切る

[ 2018年2月17日 09:00 ]

平昌冬季五輪   フィギュアスケート男子 ( 2018年2月16日    韓国・江陵アイスアリーナ )

男子SPで首位に立った羽生結弦
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 【今日のツボ教えます】羽生の圧巻の演技に、国際スケート連盟(ISU)のテクニカルスペシャリストでプロコーチの岡崎真氏も「凄いとしか言いようがない」と大絶賛。17日のフリーでも、他の選手を圧倒するGOE(出来栄え評価)と演技点の高さで「大きなミスさえしなければ、このまま羽生が逃げ切る公算が大きい」と予想した。

 最初のうちは羽生の表情が怖いぐらいに厳しかったので心配したが、全くの杞憂(きゆう)にすぎなかった。冒頭の4回転サルコーはいつもに比べると着氷で若干爪先にかかったような感じはあったが、しっかりとGOEを稼いだ。それ以降は音楽にしっかり溶け込み、見事な演技を見せてくれた。

 圧巻だったのはトリプルアクセルで、高さといい、流れといい、つながりといい、非の打ちどころがない。GOEが満点だったのも十分にうなずける。4回転トーループと3回転トーループの連続ジャンプは間の部分が少し詰まったような感じはあったが、これもGOEが3点でもおかしくない出来だった。最後のジャンプを難なくクリアした後は解き放たれたようにフェンス際に近寄り、観客と一体となって雰囲気を楽しみながら最後まで滑りきった。五輪という独特の緊張感の中で、しかも右足を痛めて練習ができない時期があったにもかかわらず、これだけの演技をする羽生の精神力の強さには改めて驚かされた。

 フリーでは演技順が最終組の4番目になったが、特に問題はないだろう。恐らく無理をせず難度を落として手堅い内容で臨んでくると思うが、それでも羽生が完璧な演技をすれば、他の選手が追い抜くのは難しい。13個の要素をこなさなくてはならないフリーは後半の体力が心配だが、慣れたプログラムだし、穏やかな曲調も呼吸を整えやすい。あとはとにかくミスをしないこと。最低でもミスを1カ所にとどめれば、このまま羽生が逃げ切る可能性が高い。

 宇野も緊張しているように見えたが、それでも団体戦以上の得点を出したのは立派だ。トリプルアクセルは少し危なかったが、何とか持ちこたえた。演技点でも10点を付けているジャッジもいるので、高い評価をもらっている。このまま勢いに乗ってフリーに行ってくれればおのずと結果がついてくるに違いない。

 点数差から考えると、フリーは実質上位4人のメダル争いと言っていい。男子は4回転の成否で得点が大きく変わってくるので、羽生とフェルナンデスの4点差はまだ安全圏とは言えないだろう。その意味では4人全員に金メダルの可能性が残っている。羽生はとにかくミスを少なくすること、そして他の選手は羽生のミス待ちということになりそうだ。 (ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)

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