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ラスベガスの銃乱射事件が及ぼすスポーツ界への不安と懸念

ラスベガスの銃乱射現場(AP)
Photo By AP

 【高柳昌弥のスポーツ・イン・USA】米ネバダ州ラスベガスで起きた史上最悪とも呼ばれる銃乱射事件は、多くの人を恐怖に陥れた。そもそも64歳になった人間が23丁以上の銃器をそろえることが可能な社会構造とはいったい何なのか?しかも、従来の乱射事件と違い、今回はホテルの32階から狙うという“角度”が特色だったように思う。そしてスポーツの視点からこの問題を考える。危機感を抱いているのは私1人ではないはずだ。

 まず事件現場を検証してみる。そこはラスベガス・ストリップという大通り(全長6・8キロ)に設けたカントリー音楽祭の特設会場だった。観客が密集。容疑者がいたホテルの部屋からは直線距離で400メートル離れていたようだが、この場合、射撃の精度は必要がなかった。

 2013年のボストン・マラソンでは爆弾テロが発生しているが、もし都市型マラソンのスタート付近を狙われたらどうだろう。そこでは数万人が密集した状態で号砲を待っており、もし半径数百メートルに“個室”があって容疑者に逃げる気がない場合には、ラスベガスと同じ状況になる。

 ニューヨークシティー・マラソンの参加者は世界最多の5万人。東京マラソンも都庁周辺で3万4000人がスタートを待つが、もしその時に…と考えると背筋が凍りつきそうになる。コンサート以外で屋外の狭いエリアに最も人が集まるイベントはおそらくマラソンのスタート。こういうことが起こった以上、大会関係者は心してかからなければならない案件だろう。

 スポーツ界にとってはラスベガスという場所もショッキングな問題だ。今季から北米プロアイスホッケー・リーグ(NHL)に誕生したゴールデンナイツの地元はラスベガス。本拠地T―モバイル・アリーナは事件現場のコンサート会場から800メートルしか離れていない。地元での開幕戦は10日(対コヨーテス)だが、用意していた華やかなセレモニーはおそらく追悼式典に変更されるはず。そして、今後警備をどうするのか?室内イベントとは言え、これまでとは違った何らかの対応が必要だろう。

 米プロフットボール・リーグ(NFL)のレイダースは現在、カリフォルニア州オークランドを本拠にしているが、2020年にはラスベガスに移転する予定。“引っ越し”を決断するに至った理由のひとつは全米最悪とも言われるオークランドの治安の悪さだったはずだが、皮肉にもその問題は解決のメドが立たなくなった…。そんな気がしてならない。

 米プロバスケットボール・リーグ(NBA)にはラスベガスを本拠にしているチームはないが、五輪代表の最終合宿地であり、2007年にはNBAのオールスターゲームが開催されている。スポーツ専門サイト「SBネーション」は、もし現在30チームのNBAが球団拡張(エクスパンション)を実施した場合(2チーム増)の候補地を13都市挙げているが、その中の1つがラスベガス。球団誘致を含めた今後の活動に大きな影響を与えるのは避けられない。

 犠牲になった方とそのご遺族には心からお悔やみ申しあげる。あってはならない事件だし、落とさなくていい命だったはずだ。願わくば、これがきっかけになって銃社会の問題を論じようとしない国のリーダーが考え方を改めることを願っている。そして、歓声の中に銃声が混じらない世の中であって欲しいと思う。ラスベガスで起こった悪夢の事件。それはスポーツ界にとってもダメージが残る悲しい出来事だった。(専門委員)

 ◆高柳 昌弥(たかやなぎ・まさや)1958年、北九州市小倉北区出身。上智大卒。ゴルフ、プロ野球、五輪、NFL、NBAなどを担当。スーパーボウルや、マイケル・ジョーダン全盛時のNBAファイナルなどを取材。50歳以上のシニア・バスケの全国大会に6年連続で出場。

[ 2017年10月4日 10:30 ]

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