小池新党VS安倍政権の構図は3年後の東京五輪に何をもたらすのか

[ 2017年10月4日 10:00 ]

小池百合子氏
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 【藤山健二の独立独歩】希望の党を立ち上げた小池百合子都知事が自ら衆院選に出馬するのかしないのか。本人は一貫して「100%ない」と否定しているが、決断次第では与野党対決の勝敗に直接影響を及ぼすだけに、連日報道が過熱している。3年後に迫った東京五輪の関係者にとっても知事の動向は重大関心事で、一挙手一投足を固唾(かたず)をのんで見守っている。

 言うまでもないが、東京に五輪を誘致したのは国でも組織委員会でもなく、東京都である。当然、誘致から開催まで都が責任を持ち、大会を成功に導く義務がある。だが、最初に招致を推進した石原慎太郎知事は12年10月に辞職。副知事だった猪瀬直樹氏が次の知事として招致活動を引き継ぎ、13年9月の国際オリンピック委員会(IOC)総会で20年開催を勝ち取ったものの、医療法人徳洲会グループからの資金提供問題で13年12月に辞職。14年2月の選挙を経て舛添要一知事が引き継いだが、政治資金流用疑惑が浮上してやはり辞職に追い込まれた。そしてリオデジャネイロ五輪直前の16年8月に都民の圧倒的な支持を得て就任したのが小池知事だった。

 先頭に立って五輪の準備を進めるべき東京都知事は、招致段階から小池氏ですでに4人目。もし小池知事が土壇場で衆院選出馬を決断すれば、5人目が誕生することになる。もちろん、招致から開催までの期間が長いので交代があっても不思議はないが、5人はいくら何でも異常だ。リーダーが代わるたびに方針の見直しが行われ、準備は遅滞を余儀なくされる。特に小池知事の就任以来、競技施設や費用分担の見直しが積極的に行われ、インフラなども含め大会の準備は大幅に遅れている。今でも20年7月24日の開幕に間に合うかどうかぎりぎりなのに、ここでまた知事が代わって一からやり直しとなったらもう完全に間に合わない。

 小池氏がそのまま知事を続けるとしても、国政政党の党首としての活動も加わり、果たして本当に両立できるのかという不安は残る。仮に希望の党が野党第1党になれば、安倍政権との対立が激化し、いつまた政局となって国政か都政かの選択を迫られる局面が訪れないとも限らない。何より都と国、組織委員会が一体となってラストスパートを掛けなければならない時に、国政絡みで無用の対立が生じ、その結果準備が更に遅れるようなことがあっては取り返しがつかない。

 今回の選挙を巡って小池知事がどんな決断を下すのか。選挙後の国と都の関係がどうなっているのか。東京五輪の成功を願う一人として、しっかりと見極めたい。(編集委員)

 ◆藤山 健二(ふじやま・けんじ)1960年、埼玉県生まれ。早大卒。スポーツ記者歴34年。五輪取材は夏冬合わせて7度、世界陸上やゴルフのマスターズ、全英オープンなど、ほとんどの競技を網羅。ミステリー大好きで、趣味が高じて「富士山の身代金」(95年刊)など自分で執筆も。

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