【岡崎真の目】成長示したリカバリー能力 宇野は世界の頂点に近づいている

[ 2016年12月25日 07:40 ]

フィギュアスケート全日本選手権第3日 ( 2016年12月24日    大阪・東和薬品ラクタブドーム )

<フィギュア全日本選手権>華麗な演技を見せる宇野
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 初優勝が懸かる全日本の最終滑走という極限状態で、宇野はかなり緊張していたと思う。冒頭の2種類の4回転ジャンプも良くなかったし、連続ステップではレベル2という取りこぼしもあった。さらに、連続ジャンプを予定していたはずの2度目の4回転トーループも着氷をこらえるのが精いっぱい。決して褒められる内容ではなかったが、これが逆に成長を示す結果となった。

 というのも、単発予定だった3回転ルッツ、サルコーにそれぞれ2発目のジャンプを付け、きっちり「セーフティーネット」を作動させている。最後のスピンを含め、終盤のリカバリーは見事なものだ。5項目の演技点という視点で言えば、終盤の巻き返しは印象をグッと良くするケースが多い。本人は満足していないだろうが、羽生不在の大会で格の違いを見せた結果だった。

 今季は4回転フリップという武器を手に入れ、得点の最高値を高めた。この大会はSPも含め、全ての4回転は納得する出来になかったにもかかわらず、合計は280点超え。つまり、最低点の底上げにも成功しているわけで、世界の頂点に着実に近づいていることを印象づけたと思う。 (ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)

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2016年12月25日のニュース