収穫と課題の1勝3敗 ジョセフ・ジャパン始動が半年早ければ…

[ 2016年12月7日 10:40 ]

日本代表のジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ
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 1勝3敗という結果をどう評価するか。

 ラグビー日本代表がジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチを迎えた最初のテストマッチ期間を終えた。11月14日の前回コラムの直前には、ジョージア戦で新体制として初勝利。その後の世界ランキング6位のウェールズとの対戦では、7万4000人近い観衆が詰めかけた完全アウェーで、残り10秒まで同点に粘る大接戦。無情にもドロップゴールを決められ白星を逃したが、結成して3週間のチームであることを勘案すれば、高く評価していい内容だった。今秋最終戦のフィジー戦は完敗したが、ウェールズ戦から先発15人を変更しないという戦略的ミスもあってのこと。完敗した初戦のアルゼンチン戦を含め、全ての試合が収穫と課題を得るものになったのではないか。

 ジョセフHCも総括しているように、もっとも大きな収穫は新たに才能ある選手を発掘したことだろう。残念ながら膝のケガでジョージア戦を最後に長期離脱となったレメキ・ロマノ。リオ五輪までの半年以上はセブンズに専念していたため、15人制への切り替えの面で不安があったが杞憂に終わった。ボールを持たせて良し、タックルをさせて良し。周りとの連携も合格点だった。セブンズには15人制のような「キャップ」という概念が存在しないが、彼は世界最高峰のサーキット大会であるセブンズシリーズを何大会も経験し、大会のベストセブンに選出された経歴がある。その意味では30キャップ程度の経験を積んだ選手と同格の働きぶりを見せてくれたと思う。

 そしてレメキと同等の活躍を見せたのが、フランカーの布巻峻介。早大時代からタックルや運動量の豊富さには定評があったが、王者パナソニックに入り2年目で、国際レベルで通用するまでに急成長した。FW第3列はリーチ、ツイ、ブロードハースト、ホラニ龍コリニアシ、ロックもできるアイブスと、15年W杯代表がこぞって今秋は招集されなかったポジション。大きな戦力ダウンが予想されたが、布巻に加えてイラウア、松橋ら初招集組が穴を埋めた。もちろん埋めきったとは言えないが、今後さらに経験を積んで成長が見込めることを考えれば、19年に向けて暗い気持ちにはならない。

 だからこそ、今一度あえて言いたい。17人もの初代表選手が誕生した今秋の代表活動が、半年早かったら、と。

 振り返ればサンウルブズのマーク・ハメットHCを代行に立てて3試合を戦った今年6月。この時点で19年に向けて新たな選手を発掘する姿勢を見せ、カナダ、スコットランドと計3試合を戦っていたら、結果はどうなっていたか。接戦を制したカナダには敗れたかも知れない。2戦いずれも10点差以内の小差だったスコットランドには、もっと点差を付けられて負けたかも知れない。ただそこで出た課題が選手の成長を促し、この秋の4戦はもっと芳しい結果になったと想像している。

 5月のメンバー発表会見で男子15人制代表強化責任者の薫田真広ディレクターは「ジョセフは15年(W杯)のメンバーが19年までやれるのかを見たい」と説明したが、その意味はあったのか。さらに言えば今春初キャップを獲得したSH茂野海人、帝京大4年の松田力也らは、秋の招集が見送られた。協会サイドは一貫性を持った選手選考を行えていたのか。

 全てはタラレバの話しだ。結果は開幕まで3年を切ったW杯で出る。(阿部 令)

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2016年12月7日のニュース