豪栄道11連勝 稀勢に“引導”1敗も消え2差独走

[ 2016年9月22日 05:30 ]

稀勢の里を渡し込みで破る豪栄道(左)

大相撲秋場所11日目

(9月21日 両国国技館)
 豪栄道が稀勢の里との大関同士の一番に勝ち、11戦全勝として単独トップを守った。稀勢の里は3敗目で、今場所後の横綱昇進は絶望的となった。横綱・日馬富士は関脇・高安に敗れ、ともに2敗。平幕・遠藤も玉鷲に突き落とされて2敗目を喫し、1敗力士が姿を消した。このため、早ければ13日目にも豪栄道の初優勝が決まる可能性も出てきた。

 賜杯の行方を占う大関決戦。豪栄道は綱獲りが懸かる稀勢の里を破り11連勝を飾った。1敗力士も次々に敗れ、初めての賜杯が現実味を帯びてきた。

 「右。最後に右が差せたのがよかった」

 執念の右だった。立ち合いで稀勢の里が突き放してきた。「あまり考えていなかった」という展開。それでも、夏巡業の稽古で戻った相撲勘がさえた。相手の左張り手に乗じて右を差した。ここからの逆襲は電光石火。もろ差しで一気に出て最後は左手を足に回しての渡し込み。「よく動けた。大きな歓声の中で相撲を取れるのはありがたい」と気持ちよさげに勝ち名乗りを受けた。

 先場所まで通算13勝24敗と分の悪かった強敵を下し、立場が逆転した。2人は同じ1986年生まれの同い年。しかし、05年初場所で豪栄道が入門したとき、デビューが3年早い稀勢の里はすでに幕内だった。「(稀勢の里は)もう関取やったからね。追いつけ、追い越せという気持ちでね」と振り返る。

 14年秋場所で大関に昇進後も、綱獲りに挑む稀勢の里の方に注目が集まった。その一方で、自身の成績はふるわなかった。その悔しさを「そういう気持ちは、持っていないとね」とバネにした。賜杯を手にすれば来場所は綱獲りの主役となる。

 この日、両国国技館で観戦した横綱審議委員会の守屋秀繁委員長(千葉大名誉教授)は「鶴竜も日馬富士も2場所トントンと勝った(ので横綱になった)。その前の場所は不問」と、仮に2場所連続優勝なら名古屋場所の負け越しは関係ないとの見方を示している。

 08年夏の琴欧洲以来のカド番Vは目前。同時にそれは1930年夏場所の山錦以来、大阪勢86年ぶりの優勝となる。12日目は横綱・鶴竜戦。今の勢いなら、視界は限りなく良好だ。

続きを表示

2016年9月22日のニュース