15歳・今井月、天国のママ譲りの負けず嫌い リオ五輪は「思い切り」

[ 2016年6月1日 09:00 ]

天国の母・リサさんへメッセージを書いた今井月

 リオデジャネイロ五輪競泳女子200メートル個人メドレー代表の今井月(るな、15=豊川高)ら競泳陣が31日深夜、約2カ月間の欧州遠征に出発。今井はスポニチ本紙のインタビューに応じ、自身初となる海外合宿への意気込みを語った。小2の夏に急死した母・リサさんへのメッセージ、母が天国に旅立ってから約8年間、男手一つで育ててくれた父・博美さんへ感謝の言葉を口にした。

 ――五輪開幕まで残り約2カ月。初めての海外合宿である上に、2300メートルの高地での強化合宿にも初めて挑戦する。

 「初の高地トレーニングで不安が大きいです。高地は酸素が薄くて苦しいというイメージ。それを乗り越えたら強くなると思うので頑張りたい」

 ――欧州では金メダル候補の萩野公介、星奈津美に合流して腕を磨く。遠征で取り組むことは?

 「毎日しっかり練習ノートを記録したい。オリンピアンとしての自覚を持ち、アスリートとして意識を高めていきたい。星さんは優しくてお姉さんみたい。一緒に練習できて光栄です」

 ――7月上旬には五輪前最後の実戦で、フランスの大会に出場する。

 「今の自己ベストが2分10秒(76)台、それでは五輪で戦えない。(背泳ぎを改善して)フランスで9秒台を出したい」

 ――8歳になった8月15日の誕生日に母・リサさんが急死した。母も応援してくれた水泳で、一つの夢がかなった。五輪決定後、母への報告は?

 「岐阜の自宅から徒歩1分の場所にお墓があって、4月20日に帰省してお参りしました。五輪が決まった報告と応援ありがとうございましたって。お花を交換したり、水をかけるだけだったり、よくお墓参りをして、最後は語り掛けます。母への報告は試合で頑張れる原動力になっています」

 ――今回の長期遠征を前に、愛する母へは最後にどんな言葉を掛けた?

 「長旅になるので、とにかく応援よろしくお願いします、というのと、いい報告ができるように頑張りますと。お母さんは負けず嫌いだったので、そこはよく似たと思います。試合も父と2人で見に来てくれたのを、よく覚えています」

 ――初の五輪は天国の母も見てくれるはず。

 「今回お母さんの写真を持って行きます。小3に上がる前のJO(ジュニアオリンピックカップ)でも持って行ったのを覚えています。ずっとお母さんと一緒にJOを目標にしていて、兄が出場した時はお母さんと留守番していて、会場に行けなかったので、初めて出た時に写真を持っていきました」

 ――8歳から父・博美さんが男手一つで育ててくれた。東京の試合では岐阜から5時間以上、車を飛ばして応援に駆け付け、車中で寝泊まりすることもあった。

 「お父さんは練習の送り迎えもしてくれて、いつも大変だったと思う。まずは結果で恩返しをしたいと思います。料理も自宅に帰ったら必ず私の好きな豚汁が用意してあります。鶏の唐揚げも好きで、3日間かけて仕込んでくれて、凄くジューシーでおいしい」

 ――ラスト50メートルをどんな姿で泳いでいる?

 「日本選手権の時のタッチを見てくれました!?めっちゃぴったりで、初めて決まりました。ラストスパートは持ち味でもあるので、最後5メートルをノーブレス(無呼吸)で前の選手を捉えて、思い切りタッチしたいです」

 ◆今井 月(いまい・るな)2000年(平12)8月15日、岐阜県生まれの15歳。岐阜西中に在籍した昨年まで全国中学校体育大会で女子100メートル、200メートル平泳ぎの2種目を3年連続で制覇し、昨年の日本選手権は100メートル2位、200メートル3位。今年は200メートル個人メドレーで派遣標準記録を突破して2位に入った。愛知・豊川高1年。1メートル64、51キロ。

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