デザイン変更「非現実的」 新国立競技場問題で英建築事務所

[ 2015年6月13日 08:30 ]

 2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場(東京都新宿区)の建設問題で、デザインを手掛けた英国の建築事務所の担当役員、ジム・ヘベリン氏(46)が12日、共同通信の取材に応じ「2年以上かけて建設を待つだけのデザインにたどり着いた。大幅に変更すれば、おそらく1年はかかる。非現実的な選択肢で、コスト削減につながる保証もない」と警告した。

 新国立競技場をめぐっては工期や建設費の見積もりが甘く、文部科学省はフィールド部分を覆う開閉式屋根の設置を大会後に先送りする方針を示している。デザインを担当した著名な女性建築家、ザハ・ハディドさんが代表を務める事務所の同氏は「開閉式屋根はもともと、主に五輪後の利用を想定したもので(先送りは)合理的だと思う。必ずしもラグビーのワールドカップ(W杯)や五輪に必要ではない」と理解を示した。

 日本では建築家の槙文彦氏らが、屋根を支える2本の巨大なアーチ構造を取りやめた抜本的な見直し案を提示し、コストの大幅削減と工期短縮につながると主張しているが、ヘベリン氏は「外から眺めている人の意見で、言うだけなら簡単だ」と反論。アーチは観客席を覆う固定の屋根を支える上で必要とし、今のデザインでも予定の19年3月までに建設は間に合うと自信を示した。

 計画見直しによるコスト削減については「東京では五輪に関連したインフラ整備やホテル建設で建設業者の需要は高まっている。仮にデザインをやり直したとして、そのときに建設費がどうなるかは予想できない」と指摘。「この夏に(業者との契約などを)決断しないと完成が間に合わない。それこそ最大のリスクだ」と訴えた。(共同)

続きを表示

2015年6月13日のニュース