パーソナルトレーナー「膝崩れで力士生命危機」「祈るしか」

[ 2015年5月6日 05:30 ]

岡武聡パーソナルトレーナー

遠藤 夏場所強行出場

 遠藤の夏場所強行出場についてパーソナルトレーナーの岡武聡さん(48)が見解を語った。

 スポーツトレーナーの視点で言えば、今回の遠藤関の決断はリスクが高く、強行出場であることは間違いないと思います。悪化する危険性があるからです。私は昨年7月に左膝外側半月板を傷めた大関・豪栄道関の治療を担当しましたが、ケガをした時の映像を見る限りは、大関よりはるかに重傷に見えました。前十字じん帯を痛めていることが何よりの証拠です。

 私は何度も前十字じん帯を損傷した力士を見てきましたが、前十字じん帯というのは全ての競技者にとっての生命線。100キロ以下の競技者でも、負傷すれば復帰までに普通は半年~8カ月をかけて治療します。遠藤関は完全断裂ではないと聞きましたが、一部であっても膝は緩くなり、ふとした拍子にガクリと崩れる「膝崩れ現象」が起こる可能性があります。膝が崩れると、クッションの役割を果たしている半月板を負傷してしまいます。特に内側の半月板をひどく損傷すると、手術をして部分切除するか縫い合わせるしかありません。そうなると膝に水がたまったり、慢性的に痛みが出て力士生命の危機に陥いる可能性もあります。緩さを補うには相当な筋力強化の必要がありますが、遠藤関は負傷してから2カ月。どうなるか分からない時期です。

 遠藤関は大学時代に右膝前十字を断裂し、手術をせずに復帰されましたが、アマの大会は1日2日で終わります。15日間、何とか無事に終えてくれることを祈るしかありません。

 ◆岡武 聡(おかたけ・さとし)1966年(昭41)7月23日生まれの48歳。パーソナルトレーナー。ストレングス&コンディショニングコーチ。日体大時はウエートリフティングでインカレを制覇。卒業後は人間総合科学大鍼灸(しんきゅう)医療専門学校に通い、鍼灸師の資格を得る。レスリング、ウエートリフティング、相撲など数々の競技者を指導、診療する。

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2015年5月6日のニュース