悲願初Vへ…稀勢“原点回帰”突き押し徹底で日馬に4連勝

[ 2014年12月27日 05:30 ]

横審の前で稽古する稀勢の里(左)と日馬富士

 大相撲の初場所(来年1月11日初日、両国国技館)を前に横綱審議委員会による稽古総見が26日、両国国技館の相撲教習所で一般に非公開で行われ、悲願の初優勝を目指す大関・稀勢の里(28=田子ノ浦部屋)が好調をアピールした。日馬富士から稽古相手に指名されると、いきなり4連勝するなど横綱大関を相手に大きく勝ち越し。今年、逸ノ城ら若手の陰に隠れた和製大関が“原点回帰”の突き押しで15年を飛躍の年にする。

 稀勢の里に迷いはなかった。日馬富士から稽古相手に指名されると、激しくぶつかって圧力勝ちする相撲を連発。4番連続で勝つと、横綱が土俵からいったん退散した。初日までは2週間以上あるが、どちらが格上か分からない状況だった。四つに組んでゆっくり攻めるような“負けない相撲”は取らず「昔を思い出し、上がってきた頃を思い出し、新しい自分をつくりたい」と突き押しを貫く“勝ちにいく相撲”を徹底。豪栄道と日馬富士と計20番取って12勝8敗と勝ち越した。

 貴乃花に次ぐ2番目に若い18歳3カ月で入幕してから10年。その間、周囲から「取りこぼしがないような相撲を」「左四つの型を極めた方がいい」などとさまざまな助言を受け続け、思い悩むたびに失敗を重ねてきた。

 そんな時、転機の一番が訪れた。先場所11日目の横綱・鶴竜戦。前日の日馬富士戦であまりにもふがいない内容で敗れ、必死だった。結果は激しい突き押し相撲で完勝。「ああいう相撲で上がってきた。(突き押しを)徹底しなくてもいいけど、ああいう気持ちでやらないと」。10年かけてたどり着いたのは、先代師匠(元横綱・隆の里)に言われるまま“がむしゃら”に相撲を取っていた10代の頃の相撲。今年も初優勝はかなわず、逸ノ城ら新世代の陰に隠れたが「いい経験も勉強もあった」と一皮むけた自覚がある。

 体重は以前より3キロ絞って167キロ。北の湖理事長(元横綱)も「体に合っている。動きが良かった」と褒めた。初日に向けて豪栄道と出稽古で手合わせする計画もある。「期待はしない方がいいですよ」と笑った大関の控えめな言葉は自信の裏返しだ。

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