羽生 修正力で首位!3ルッツ乱れ、直後3回転をダブルに

[ 2014年12月27日 05:30 ]

華麗な演技を見せる羽生

フィギュアスケート全日本選手権第1日

(12月26日 長野市ビッグハット)
 V3が見えた。世界選手権(来年3月25日開幕、中国・上海)の代表選考会を兼ねて開幕し、男子ショートプログラム(SP)で羽生結弦(ゆづる、20=ANA)が94・36点で首位発進。ファイナル連覇などで既に代表入りが決定的なソチ五輪金メダリストが、3連覇へ好スタートを切った。町田樹(たつき、24=関大)が90・16点で2位、ジュニアの宇野昌磨(17=中京大中京高)が85・53点で3位につけた。フリーは27日に行われる。

 ベストの解答を求め、羽生の脳内コンピューターが高速で動いた。演技終盤、今季不調の3回転ルッツの着氷が大きく乱れる。続けて3回転トーループを跳ぶはずだったが、眼前に氷が迫るほどバランスを崩すと「3回転をつけるのは無理」と判断。一瞬で導いた答えは2回転トーループだ。両手を上げ、出来栄えで加点を狙った。「練習でもやったことない。なんとかプラスマイナスゼロでいけるように」。黄金の修正能力で、減点を0・42点にとどめた。

 国際スケート連盟に公認はされないが、今季自己ベスト&今季世界最高の94・36点で首位発進。ルッツのミスに「またか」と苦笑いも浮かんだが、他は圧巻の内容だった。冒頭の4回転トーループを決め、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)も「力なく跳べたのは良かった」と自画自賛。2つのジャンプは、加点がMAXの3点という驚異の出来だった。「このプログラムをまとめることができたのは進歩かなと思う」と手応えを口にした。

 11月8日、中国杯男子フリー直前の6分間練習で中国選手と激突。側頭部、下顎から流血し、腹部、左太腿、右足首の計5カ所も負傷した。側頭部は医療用ホチキスで傷口を留め、同月下旬のNHK杯前に針を取ったが、「痛い!」と悲鳴を上げたという。他の部分のケガも癒えてきているものの、右足首にはまだテーピングが施されている。今季理想とする演技後半の4回転は封印せざるを得ない状況だが、存在感は別格だった。

 27日のフリーに3連覇が懸かる。SPが完璧ではなかったため、自身初の300点超えは厳しくなった。ジュニア時代、目標点数を紙に書き込むほどスコアにこだわっていたが、今は違う。「点数を意識してやっているってことはない」。全日本3連覇への特別な感情もない。「きょうはきょう。あしたはあした。本番は本番。いい演技ができるよう、一つずつやっていきたい」。フリーは「オペラ座の怪人」。結果も数字も追わないプリンスは、ファントムを演じることに集中する。 

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