空手界のきゃりぱみゅ22歳・植草 五輪競技採用へ夢つかむ

[ 2014年12月10日 05:30 ]

記者会見でポーズを執る植草(左)と染谷

 20年東京五輪での競技採用へ、仁義なき戦いが始まった。8日にモナコで開催された国際オリンピック委員会(IOC)の臨時総会で、中長期改革「五輪アジェンダ2020」40項目が全て承認され、開催都市に複数の種目追加を提案できる権利を認めたことを受けて9日、各競技団体が会見を開いて五輪実施をアピールした。東京都内で会見を開いた全日本空手道連盟は、現役選手2人が同席。約66万人分の署名も用意し、6年後へ熱い思いを伝えた。

 4度目の正直へ、空手界が総力を挙げる。05、09、13年と、3度のIOC総会で正式種目入りを目指しながら、落選を繰り返した沖縄発祥の武道。会見には全日本空手道連盟の栗原茂夫副会長、世界空手連盟の奈蔵稔久事務総長のほか、11月の世界選手権(ドイツ)組手女子68キロ超級銅メダルの植草歩(帝京大4年)ら選手2人が出席して本気度をアピール。植草は「自分が五輪に出ることはないと思っていた。自分が感動を与えられる立場になりたい」と懇願するように話した。

 人呼んで「空手界のきゃりぱみゅ」。連盟関係者によると「きょうもほとんどスッピン」だったが、色白で笑顔が愛くるしい22歳だ。東京五輪は28歳で迎えるが「優勝します!」と宣言。野球・ソフトボールに比べて露出度が低いだけに「4月からブログを始めました。選手のプライベートも見てもらいたい」と全身全霊を五輪へささげる覚悟だ。

 勝算もある。奈蔵氏は「期間は最短2日、金メダルは2つでいい。インフラ整備も不要」と実施計画を発表した。世界選手権では男女ともに組手5階級、同団体戦、形個人戦、同団体戦と計16個のメダル争いが繰り広げられるが、五輪では組手の無差別級に特化するプランを披露。出場選手も計64人に絞り込むことで、最小限の期間、予算、人手で実施が可能となる。さまざまな軋轢(あつれき)を生む可能性は否めないが、身を切る覚悟を示し「最低、組手の無差別。次に形。フレキシブルに対応できる」と柔軟性を強調した。

 世界で6000万人の競技者人口、10月からのわずか2カ月で集めた約66万人分の署名も空手界を後押しする。国会にも空手道推進議員連盟が発足済みだ。「他の競技とは別の次元で、強力に進めていきたい」と奈蔵氏。あらゆる手を尽くし、五輪採用を実現する。 

 ▽空手のルール 競技は組手、形の2つに大別される。組手は8メートル四方のコートを採用。競技時間は男子3分、女子2分。上段蹴り、中段蹴りなど技のカテゴリーによって1~3ポイントが与えられ、8ポイント差がつくか、時間終了時のポイントが高い方が勝者となる。全日本空手道連盟や世界空手連盟の場合は寸止め方式でさまざまな反則技が定められておりルールを犯すとペナルティーが科される。

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