逸ノ城 大関に手抜き!?立ち合い集中「あとはどうでも」

[ 2014年12月3日 05:30 ]

豪栄道(中央)に簡単に送り出され、悔しそうな逸ノ城

 大相撲冬巡業が2日、鹿児島県鹿児島市で行われ、関脇・逸ノ城(21=湊部屋)がまたも大物ぶりを発揮した。大関・豪栄道(28=境川部屋)から稽古相手に指名されたが、簡単に土俵を割る場面を連発した。大関が“怪物の手抜き”を指摘した一方で、本人はしっかりと自らの課題に取り組んでいたと主張。さらなる飛躍を狙う来年初場所(1月11日初日、両国国技館)に向けて大物らしくマイペースに稽古に臨んでいる。

 地位も年齢も上の力士と対峙(たいじ)しても怪物はマイペースを貫いた。逸ノ城は7歳年上の大関である豪栄道から稽古相手に指名されたが、あっさりと土俵を割る姿を連発。全部で14番連続で取ったが、うち12番はほぼ抵抗することなく寄り切られ、送り出され、投げられた。これには大関も「本気出してないんじゃない?」と首をかしげた。立ち合いで得意の形をつくった2番は一気に前に出て勝利を収めたが、うまくいかなければ簡単に勝負を諦めた。

 本人は「立ち合いだけに集中した。あとはどうでもいい」と何の悪気もなく自らの課題に取り組んでいたことを主張。ただ、内容については「全然駄目。受けてしまった。大関が強かった」と納得していない。新関脇で臨んだ11月の九州場所では上位に対して立ち合い負けする場面が目立ち、8勝7敗で辛うじて勝ち越し。部屋の千秋楽パーティーで会った元横綱・朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏からも「立ち合いが駄目」と指摘されるなど課題が浮き彫りとなった。それだけに冬巡業では誰を相手にしても、立ち合いの強化に一点集中で取り組んで克服するつもりでいる。

 新入幕で13勝した直後の秋巡業はストレスによる帯状疱疹(ほうしん)で途中休場。だが、冬巡業2日間の様子を見て尾車巡業部長(元大関・琴風)は「慣れてきたかな。秋は余裕がなかったから。自分のペースでやれてるし、いい汗かいてる」とひと安心の様子だ。

 初土俵から2年目に突入する来年に向け、逸ノ城は「いい年になれば。一日一日頑張る」と謙虚さをアピールした。それでも、将来の目標を問われると「横綱」と断言してしまう21歳。コメントも行動も、やっぱり大物だった。

 【逸ノ城の強心臓アラカルト】

 ☆横綱大関に変化 新入幕だった秋場所13日目。モンゴルの先輩、横綱・鶴竜を左変化からのはたき込みで破って初金星を獲得。11日目の大関・稀勢の里戦に続く変化での勝利に「最初から決めていた」と怖いもの知らずの発言も飛び出した。

 ☆取組前にあくび 取組前にリラックスした表情を浮かべることがしばしばある。優勝争いに絡んで横綱大関戦が組まれた秋場所終盤戦でさえも、鳥取城北高で2年先輩の照ノ富士と談笑したり、あくびをしていた。

 ☆場所中も酒豪 秋場所の7日目に初黒星を喫した夜、師匠、おかみ、若い衆を連れて焼き肉店へ。全て自分のおごりで、一人で400ミリリットルのグラスビールを計11杯飲み干した。「飲まないはずだったけど飲みたくなった」と験直しでもスケールの大きさを発揮した。

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2014年12月3日のニュース