東京五輪へ!バドミントン新星 中1奈良岡、最年少全日本1勝

[ 2014年12月3日 05:30 ]

全日本バドミントン男子シングルス予選2回戦で敗退したものの、父でコーチの浩さん(左)とともに笑顔で会見する奈良岡功大

バドミントン全日本総合選手権第1日

(12月2日 国立代々木競技場第2体育館)
 スーパー中学生が現れた。男子シングルス予選1回戦で13歳の奈良岡功大(青森・浪岡中1年)が保木卓朗(19=トナミ運輸)を2―1で下し、大会最年少勝利を収めた。これまでの最年少勝利は女子シングルスで山口茜(17=福井・勝山高2年)が2年前に記録した15歳で、それを大幅に更新。予選2回戦で田村翼(23=宇部興産)に0―2で敗れたものの、20年東京五輪へ、男子にも頼もしい新星が誕生した。

 果てしない可能性を秘めた中学生が歴史に残る勝利をつかんだ。「緊張した。(勝利は)うれしかった」。13歳としては大柄な1メートル71の体で粘り強く相手のシャトルを拾い、ミスを誘った。1年生で全国中学校シングルスを制した逸材は6歳年上で昨年の高校総体シングルス準優勝の保木に第1ゲームを奪われながら逆襲。最終ゲームのジュースにまでもつれながら最後は会心のスマッシュで22―20とし、87分の激戦を制した。「(シニアは)パワーがあるな。自分の力はあまり出せなかった」と振り返ったが、これまでの最年少勝利は女子シングルスの山口で15歳。体格差やパワー、スタミナなど年齢の差が大きな壁となる男子で大幅に記録を更新した。

 ラケットを握ったのは5歳。父・浩さん(44)が監督を務めるバドミントンクラブで、素振り3000回から始まった。「あんまり覚えていない」と振り返る奈良岡だが、週2回、2時間近くかけて基礎を徹底的にこなしたことが、原点だった。現在の練習は部活動で2時間、クラブで2時間の1日4時間。13歳は趣味もバドミントンで、その魅力を「決め球を決めるのが面白い」と話す。家では部屋での壁打ちに夢中。5年かけて、シャトルで壁に穴を開けてしまった逸話を持つ。

 明確な目標設定も、スーパー中学生を支える。小学3年の終わり頃には既に27個の目標を自ら立て紙に書いて、部屋の壁に貼った。現在はさらに9個加わり、36個の目標がある。高校2年で全日本総合選手権優勝、20年東京五輪の金メダル、五輪連覇も設定済みだ。

 中学生離れした戦術も兼ね備える。予選1回戦では第1ゲームは守備に徹したが、第2ゲームからは攻めに転じて、勝負どころでスマッシュを浴びせるなど、大人顔負けの柔軟な試合運び。日本代表の舛田圭太コーチは「ポテンシャルが高く、次元が違いすぎる。守備力が良い。戦術を立ててプレーができる。この3月までランドセルを背負っていた子とは思えない」と絶賛し、20年東京五輪の日本代表入りも「可能性はある。間に合うかも」と期待を募らせた。

 父子で東京五輪へ――。奈良岡は父に「(コーチとして)ベンチに入れてやる」と断言しているという。東京五輪開催時は19歳。本戦進出が懸かった予選2回戦は体力不足や足や肩、肘の痛みもあって敗れたが「ネット前(のプレー)は良かった。いい経験になった」と収穫を得た。6年後の東京へ、夢を乗せたシャトルが飛んでいく。

 ◆奈良岡 功大(ならおか・こうだい)2001年(平13)6月30日、青森市生まれの13歳。5歳でバドミントンを始める。浪岡南小―浪岡中1年。13年全日本ジュニア中学2年生以下の部シングルス優勝。14年全国中学校シングルスで優勝し、全日本ジュニア高校2年生以下の部で4強。家族は両親と妹。1メートル71、64キロ。

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