沙保里、新階級でもV 55→53キロ級で速さに戸惑いも…

[ 2014年6月16日 05:30 ]

女子53キロ級決勝 入江ななみ(下)を破り優勝した吉田沙保里

レスリング全日本選抜選手権最終日

(6月15日 代々木第2体育館)
 最強女王が新階級にも君臨した。女子53キロ級に出場した吉田沙保里(31=ALSOK)が、前身の全日本女子選手権を含めて通算12回目の優勝を果たした。世界大会14連覇を果たした女子55キロ級が昨年末の階級変更で五輪実施階級から消滅。階級を落としたことで、減量や相手のスピード感に戸惑いながらも勝利は譲らなかった。女子の各階級優勝者は世界選手権(9月、ウズベキスタン)代表に内定した。

 吉田の頬は若干こけて、顎のラインもくっきりと浮かび上がっていた。初めて53キロ級のリミットまで落とした今大会。吉田は「相手は全て初対戦で、動きも速くて戸惑いがあった」と正直に違和感を口にした。

 減量苦はなかったが、一時は体重が落ちすぎるなど55キロ級とは少し勝手が違った。田中との準決勝のファーストコンタクトもそうだった。「亜里沙ちゃんの腕を持った時に“細っ!かわいそう!”と思っちゃった」。その隙にタックルに入られて珍しく先制を許した。決勝でも8―0まで追い込みながら終盤にポイントを失った。

 「決勝は最後に少し逃げ腰になった。それが天国の父に叱られるところかな」。こんな展開を予期してか、大会前には3月に亡くなった父・栄勝さん(享年61)が2日続けて夢に出てきたという。今大会の経験を生かすことで、新階級で勝ち続ける筋書きもすぐに出来上がるはずだ。

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2014年6月16日のニュース