揺れる柔道界…渦中の吉村前強化担当理事語る「認識甘かった」

[ 2013年3月18日 06:00 ]

柔道界の問題について語った吉村前強化担当理事

 女子代表での暴力問題がクローズアップされ、日本スポーツ振興センターがコーチに支払った助成金をめぐる不透明なお金の問題が指摘されるなど、柔道界は大きく揺れている。86年から全日本柔道連盟(全柔連)で強化の現場に携わってきた吉村和郎・前強化担当理事(61)は2つの問題に深くかかわったとされる。渦中の人物が先月5日の辞任後初めてインタビューに応じ、知られざる事実を明かした。

 ――暴力を告発した女子15選手への聞き取り調査も終わり、暴言の中身なども明らかになった。

 「指導者も楽しんでやっていたわけではないと思う。命懸けで、選手を金メダルという目標に近づけようとしていたことは少しでも理解してほしい。その中で選手を不快にさせる暴力、暴言があったとしたら、認識の甘さは否定できない。責任は受け止めたい」

 ――「強化留保金」の存在も浮上した。日本スポーツ振興センターが指導者に支払った助成金を徴収しており「裏金」とも言われているが。

 「助成対象となっている指導者が(強化の)現場にいるコーチを助ける、つまり互助会のようなお金の出し合いで、裏金という性質のものではないと認識している」

 ――留保金はいつから管理下に?

 「06年に強化委員長に就任した時、前強化委員長(上村春樹・現会長)から引き継いだ。通帳は当時の専任コーチの個人名義だった。それを“全日本柔道連盟強化委員会・吉村和郎”に切り替えたのは昨年。“個人名義の口座ではおかしい”という声が挙がったので。強化委員にお願いして費用を集めるシステムそのものは引き継いだ時から変えてはいない」

 ――それ以前、コーチや監督時代に認識は?

 「そういうもの(留保金)があることを知らなかった。女子チームとして、合宿先で頂いた餞別(せんべつ)などをプールして、選手との食事代や世界選手権に出場した選手への記念品代に使った。その管理は(当時コーチの)山口香氏に任せた時期もある」

 ――留保金の制度を作ったのは誰?

 「指導者同士の互助会のような制度を作ったのは、平成元年(89年)あたり、佐藤宣践先生(当時強化副委員長、現副会長)と、ご本人が言っていた。北京五輪が終わった後、あらためて強化委員の先生に会議で説明して了解を得たと記憶している」

 ――年間で40万円、それを3カ月ごとに10万円ずつ徴収するというのは誰が決めた?

 「それは覚えていない」

 ――引き継いだ時の留保金の残高はいくら?

 「200万円くらい。その後、世界選手権でメダル獲得数が増え、日本スポーツ振興センターの助成対象のコーチが増えたため、金額が一気に増えたことは事実」

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2013年3月18日のニュース