遼、米ツアー本格進出に弾み!2位で“資格”ゲット

[ 2012年3月13日 06:00 ]

最終ラウンド、ファンの声援に応える石川

プエルトリコ・オープン最終日

(3月11日 トランプ・インターナショナルGC=7506ヤード、パー72)
 石川遼(20=パナソニック)が米ツアー本格進出に弾みをつけた。3打差の5位からスタートし6バーディー、2ボギーの68で回り、通算14アンダーの首位タイでホールアウト。しかし、最終組のジョージ・マクニール(37=米国)が通算16アンダーまで伸ばし2打差の2位に終わった。それでも、昨年のブリヂストン招待の4位を上回る米ツアーの自己最高位。賞金37万8000ドル(約3099万円)を獲得し、同ツアーの特別一時会員の資格も手にした。

 帰りの車に乗り込む石川は名残惜しそうにつぶやいた。「あ~、なんか帰りたくないなあ」。米ツアー初優勝こそ逃したが、それだけ多くのものを得た1週間だった。

 大会前にマスターズの特別招待が決まった上に最終日まで優勝を争った経験と自信を得た。さえわたったショートゲームに「練習していれば成果は出る」と確信を抱き、プエルトリコのファンの熱烈な支持も獲得した。

 東日本大震災からちょうど1年の3月11日。スタート前にはティーグラウンドで日本の関係者とともに黙とうをささげ、帽子に喪章をつけてスタート。しかし、前半から中盤にかけては1Wが絶不調で「絶望的なプレー」と振り返る出来だった。

 だが、上位の選手も伸び悩むのを見て、気持ちを切らさずプレーした。15番パー5でこの日初めて1Wでフェアウエーを捉えると、2打目も1Wでグリーン手前の花道に運んだ。3打目はピン奥5メートルにオーバーしたが、これを決めてバーディーで勢いに乗る。17番のバーディーで首位に並び、18番もバーディーで、最終組のマクニールと首位タイのままホールアウトした。

 そのまま練習場に直行し、プレーオフに備えたが、マクニールが終盤に3連続バーディーを決め、自分が2位に終わったことを聞かされた。ランク上位選手は米フロリダで開催されたキャデラック選手権に参加。裏開催の大会ではあったが米ツアー最高成績に「米ツアーで優勝争いできて夢みたいな経験だった」と達成感は残った。

 そして今週得たものの中で、最も大きかったのが米ツアーの「特別一時会員」(別掲メモ)の資格だ。これで、米ツアーの年間出場試合数の制限が取り払われるため、今後は推薦さえ得られれば、多くの試合にチャレンジできる。来季のシード権を得られる賞金ランク125位以内に入るチャンスも大きく広がる。「もう道は一つしかない。世界をリードする魅力あるツアーに僕は挑戦したいと思っている」。夢に抱いてきた米ツアー本格挑戦への扉。それを今、石川は自らの力でこじ開けようとしている。

 ▽米ツアーの特別一時会員 シーズン中の獲得賞金額が、前年の賞金ランク150位の金額を超えたメンバー外の選手に与えられる資格。メンバー外選手は推薦出場7試合、年間12試合までの出場制限があるが、これが取り払われる。石川は昨年8月のブリヂストン招待でも4位に入り同資格を手にした。今回はシーズン序盤での獲得だけに賞金シード入りの可能性も高まる。昨年の金額で計算すると、同125位は66万8166ドル(約5478万9612円)で石川は残り約8万5000ドル(約697万円)が必要となる。

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2012年3月13日のニュース